「弟の絵がドラマに登場するなんて夢のようです」 チューリップが描けるまで3年かかった自閉症の画家 作品がTBS金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」に
絵の師匠 松澤佐和子さん「福岡市美術館の館長が宏介さんの絵を高く評価してくださり『いっしょに出品しませんか』と声をかけてもらいました。展示作品「ワタリガニ」は本物のワタリガニを仕入れてきて、宏介さんに描いてもらったものです。すると実物とは全く違う色が出てくるんですよね。『わー、面白いな、この子凄いなあ』と思い、館長にお見せしたら、『素晴らしい』と。『草間彌生さんのお隣に並べたっておかしくないよ。独自の境地を切り開いている』と言われて。有難かったです。」 実際、宏介さんの「ワタリガニ」は、草間彌生の作品の隣に展示された。 宏介さんの兄・信介さんは、こう振り返る。 兄 太田信介さん「同年に紺綬褒章を授与された草間彌生さんの作品が展示されている所は黒山の人だかりでした。その大勢の人々が宏介のワタリガニを見て『これも良いね』と口々に褒めていたんです。その時に、弟は本当に画家になるかもしれない…と思いましたね」 ■作品ができるまで宏介ワールドをつくる4段階 宏介さんの作品は、主に4段階の工程で製作される。 1 まず、下地としてアクリル絵の具でモザイクなど色とりどりの模様を描く。 2 その上に、水性ペンで動物などの輪郭を描く。 3 続いて色塗りだ。一度塗った上から別の色を重ねることも。 4 最後に好きな色の絵の具で縁取りをし、宏介ワールドが完成する。 大きな作品の場合、3か月ほどかけて仕上げていく。 ■「絵を売りましょう」「まさか」と聞き返した母 母 太田愛子さん「松澤先生から、絵を売りましょうと言われたんです。まさかと思って聞き返したら『お母さん、絵を家に置いて廊下に飾っておくだけではなく、作品がお嫁に行き、人様に見て頂くことで宏介さんのことが広がっていくんです。宏介さんは”障がい者の夢前案内人”になると思うから、是非売ってください』と説得されました」 宏介さんの父・實さんは個展の開催に反対した。愛子さんの友人がお付き合いで買ってくれるだけだろうと思っていたのだ。