大事な漁場は奪われた。もう昔の顔をしていない…馬毛島基地反対の弁護団らが初の視察上陸、港から先は「私有地」理由に認められず
鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に反対する住民訴訟の弁護団らは15日、米軍機訓練移転を伴う基地整備が進む馬毛島に初めて上陸した。西之表港から遊漁船で渡り、葉山港を視察した。 【写真】〈馬毛島の変化を写真で比べる〉北側上空から見た馬毛島。左は2023年1月12日撮影、右は24年1月8日撮影=いずれも本社チャーター機から
同日午後2時半ごろ、原告や弁護士ら6人が同港に上陸した。港から見える仮設桟橋や内陸の建設現場では関係車両が作業していた。弁護団は現地の工事関係者と交渉したが港から先は「私有地」として視察はできなかった。 原告で漁師の浜田純男さん(69)=同市=は工事が進む仮設桟橋を見ながら「これだけ大きなものを造られたら元には戻らない。祖父母が残した大事な漁場が奪われた。もう馬毛島の顔をしていない」と嘆いた。 弁護団の塚本和也事務局長によると、葉山港は同市が管理している。防衛省には上陸自粛を求められたが、許可が必要ないことを確認したという。「市民の目が届かないところで工事が進んでいるので視察が必要だ」と話した。 弁護団は昨年12月、同省への市有地売却は違法として、八板俊輔市長と国に2億3430万円の損害賠償を請求するよう市に求める住民訴訟を鹿児島地裁に提訴。今年3月には国に対し馬毛島の港湾施設工事差し止めを求める訴訟も同地裁に起こしている。
南日本新聞 | 鹿児島