第94回選抜高校野球 日大三島に春切符 38年ぶり 「力結集し頑張る」 /静岡
<センバツ高校野球> 第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)の選考委員会が28日にあり、日本大学三島高校(三島市)が東海地区代表として出場校に選ばれた。2021年秋季東海地区大会優勝の日大三島は、38年ぶり2回目の出場となる。また、日大三島に敗れたものの準優勝と大健闘し、初のセンバツ出場が期待された聖隷クリストファー高校(浜松市北区)は同地区補欠校になった。組み合わせ抽選会は3月4日に行われ、大会は3月18日に阪神甲子園球場で開幕する。【深野麟之介】 午後3時23分。校長室の電話が鳴り、大会本部から渡辺武一郎校長に、東海地区代表に選ばれたことが知らされた。渡辺校長は「ありがたくお受け致します」と答え、受話器をそっと置いた。 午後3時半すぎ、渡辺校長はグラウンドに向かった。そして、緊張した面持ちで出場決定の一報を待つ選手たちを「東海地区代表に推薦されました。おめでとうございます」と祝福。報告を受けたナインはより一層、表情を引き締めた。永田裕治監督(58)は「東海地区代表として恥じることのないよう、一生懸命な野球を心がけよう」と呼びかけた。 加藤大登主将(2年)は「(出場校の発表まで)部員全員がそわそわしていたが、出場が決まって今はほっとした」と、安堵(あんど)。センバツでは「チームの持ち味である『つなげる打撃』と、冬の練習で鍛えた守備力を見せたい」と意気込んだ。 2021年秋はエースで4番を務めた松永陽登(2年)は「甲子園に出られると信じて、冬は練習してきた」と感慨深げ。「チャンスで(打順が)回ってきたときはしっかり(走者を)還し、ピンチでは(相手打線を)抑えなければいけない」と、投打の要としての責任感をにじませた。 永田監督は、報徳学園(兵庫)の監督時代を含め、春夏通算で19回目の甲子園となる。20年春に日大三島に赴任し、2年目でセンバツ出場を勝ち取った。「(21年秋の大会を)勝ち上がっていく中で、少しずつ選手の意識が変わっていった。個の力はないが、全員の力を結集して頑張りたい」と話した。 ◇強打で勢い 東海大会V 昨秋は、日大三島が大きく飛躍するシーズンとなった。 契機となったのが、県大会準々決勝の掛川西戦だ。1点を追う九回裏2死から打線がつながり、逆転サヨナラ勝ち。続く準決勝の静岡戦も延長十回までもつれ込んだが、池口奏(1年)がサヨナラの3点本塁打を放ち、試合を決めた。2戦連続の劇的な勝利。池口は「チームの一体感が高まった」と振り返る。 チームは38年ぶりに県大会を制し、東海大会でも勢いを見せつけた。持ち味の強打を生かし、初戦となった2回戦で津商(三重)、準決勝で大垣日大(岐阜)を破る。36年ぶりの県勢対決となった決勝も6―3で聖隷クリストファーに勝利し、初優勝を果たした。 チームの投打の要は松永陽登(2年)だ。県大会は全5試合で先発のマウンドに上がり、東海大会も2回戦と準決勝を完投。神宮大会初戦の九州国際大付(福岡)戦も8回2失点と好投し、スタミナと安定感が光る。打線でも4番を担い、東海大会は満塁本塁打を含む6安打10打点と力を発揮した。 2020年春からチームを率いる永田裕治監督(58)は、かつて報徳学園(兵庫)を春夏通算18回の甲子園に導き、18歳以下の日本代表監督を務めた経験もある。【深野麟之介】 ◆学校紹介 ◇文武両道、チアも全国レベル 日本大学三島高校は、三島市文教町にある私立の中高一貫校。日大の付属校でもある。「自由と規律」を教育方針に掲げ、「国際社会で指導的立場で活躍できる人材」の育成を目指す。 創設は1958年。2021年5月1日時点の生徒数は1854人(男1005人、女849人)で、日大系列の高校で2番目に多い。進学クラス▽特別進学クラス▽国際クラス――の三つのクラスを設置し、グローバル教育やキャリア教育などを重視する。 文武両道を目指し、中学校の段階から部活動にも力を入れている。野球部は春と夏で1回ずつの甲子園出場経験がある。近年は陸上部や応援部チアパートなども全国大会に出場している。【深野麟之介】 ◇毎日新聞号外手に仲間にエール 毎日新聞は28日、日大三島のセンバツ出場を報じる号外を発行した。密集を避けるため、直接配布せず、高校に2000部を預け、生徒らに配ってもらう形にした。 報道各社に交じり、この日の野球部の取材をした日大三島高校新聞部員らがさっそく号外を手にとり思いを新たにしていた。石田悠真部長(2年)は中学時代は野球をしていた。「仲間たちみんなのためにも地元を代表して頑張ってほしい」と激励。部員の藤田千夏さん(2年)も「練習はつらいけれど楽しいと同級生だった野球部員が話していた。楽しみながら頑張って」とエールを送った。【石川宏】 ……………………………………………………………………………………………………… <東部地区予選> 2回戦 8月21日 ○ 5―3 富士宮北 代表決定戦 28日 ○ 3―2 三島南 <県大会> 2回戦 9月19日 ○10―1 藤枝北 3回戦 23日 ○11―0 三島北 準々決勝 25日 ○10―9 掛川西 準決勝 10月 2日 ○ 5―2 静岡 決勝 3日 ○ 7―2 聖隷クリストファー <東海大会> 2回戦 10月31日 ○ 5―2 津商 準決勝 11月 6日 ○10―5 大垣日大 決勝 7日 ○ 6―3 聖隷クリストファー <明治神宮大会> 2回戦 11月22日 ● 1―2 九州国際大付 =11戦10勝1敗