錦織 完全復活手応えの準優勝「とても楽しくプレーできた」相手の倍以上28本のウイナー決めた!
◇男子テニス 香港オープン最終日(2025年1月5日) シングルス決勝が行われ、世界ランキング106位の錦織圭(35=ユニクロ)は同67位のアレクサンドル・ミュレ(フランス)に6―2、1―6、3―6で敗れ、19年1月のブリスベン国際以来となる、6年ぶりのツアー優勝を逃した。それでも22年以降は故障に苦しめられてきた日本の第一人者にとって、完全復活への手応えをつかむ準優勝。今後は12日に開幕する全豪オープン(メルボルン)に4年ぶりに出場する。 フルセットの末、ツアー初優勝となった27歳に敗れたが、笑顔で勝者を称えると、コートサイドではやり切ったような表情を浮かべた。4年ぶりとなる全豪オープンの前哨戦として臨んだ大会で、ワイルドカードから決勝まで勝ち上がり、タイトルまであと一歩に迫った錦織。「とても楽しくプレーできたし、初めて出場したこの大会で決勝まで進めてうれしかった」と観客に感謝した。 第1セットは2―2で迎えた第5ゲームでアドバンテージを奪うと、左隅へバックハンドショットを決めて先にブレークした。第7ゲームは30―40から3連続ポイントでブレーク。リターンショットの速さ、相手を翻弄(ほんろう)するダウンザラインなど、全盛期を思わせる正確かつ強烈なショットで日本語の歓声も飛び交った香港のファンを魅了した。 今大会は1回戦から全試合でフルセットを戦ってきたミュレに第2、第3セットを奪われて逆転負けを喫したが、相手の倍以上となる28本のウイナーを決め、昨年3月のツアー復帰戦で最速176キロだったサーブは、この試合では194キロを記録。今年12月には36歳となる年男だが、フィジカル面でも故障の影響が色濃かった近年から大きく進歩している。 昨年からは02年全豪覇者のトーマス・ヨハンソン氏に師事。同氏がATPツアー公式のインタビューに「彼は不運にもケガに悩まされてきたし、私もテニスより体が問題だと言ってきた。昨年は試合でどう体が反応するか探っていたが、以前よりも体がしっかりしているのが分かる」と答えている通りのプレーを披露した。 今大会の準優勝で、ランキングは22年6月以来の2桁となる74位まで上昇する見通し。4年ぶりの全豪オープンは、4大大会で自己最多の4度8強入りしている得意の舞台。鮮やかに完全復活を遂げる準備は整った。