調剤大手アインが500億円の買収で小売りを強化する成算 フランフラン買収、シナジーで出店増を狙え
「当初はアパレルフロアに出店したいと話しても『でも、あなたたちはドラッグストアですよね?』と言われ、受け入れられなかった。そこで、アパレルフロアでも違和感のない化粧品店として、アパレルとの融合店をつくるなど試行錯誤してきた。実際に店が完成すると、美容に特化した店の特徴が理解され始めた」と、石川氏は語る。 アインHDの地元である札幌での積極出店を軸に、コスメトレンドを発信するというコンセプトを地道に伝えていった。新宿への出店が成功したこともあり、徐々に認知度が拡大。ドラッグストアがあるショッピングモール内にも出店を進めてきた。現在は、駅ビルのアパレルフロアなどで、店舗数を拡大させている。
■買収シナジーで出店領域拡大 今後は、買収したフランフランとの相乗効果が成長のカギになる。まず考えられるシナジーが、出店候補地の拡大だ。 フランフランは今年7月時点で国内に152店舗を展開する。アインズ&トルペは都市部中心だが、フランフランは地方のショッピングモールにも出店している。「フランフランの知名度を生かした集客が可能になり、自分たちが考えていた領域よりも出店場所は大きく広がる。地方はあまり出せていないし、都心でも再検討できる場所が増えた」(石川氏)。
現状、アインズ&トルペとフランフランが同じ施設内にある例は10店程度。今後は隣接する形での共同出店を進める。両方とも若年女性が主要客のため、集客増を見込めるという算段だ。互いの強みを生かした新形態の店舗も開発していく。 もう一つ考えられるのが、商品開発ノウハウの共有だ。 フランフランの強みは、長年、若年層に受け入れられる商品を開発し続けていること。SPA(製造小売業)として、商品の企画から販売まで一貫して行ってきた。新たなトレンドを予測し、商品を開発できる人材を多く抱えていることで、年月が経っても若いファンを惹きつけているのだ。