元スキー選手の娘が生まれながらの肺高血圧症でも明るく強くいられる訳
■自分のからに閉じこもっている家庭を見てきたから ── 現在は、公益財団法人全日本スキー連盟の理事をされています。ほかにはどんな活動をされているのですか? 森さん:ひとつは、母校の青山学院大学の体育会スキー部のコーチです。この春からは、「最先端な究極の英才教育」で知られているヒーロー幼児園で仕事もはじめました。いまは各クラスの補助をしていますが、私がスキーで培ってきた「非認知能力」や「子どもたちの可能性を伸ばす」というコンセプトに非常に可能性と共感をもち、楽しくお仕事させていただいています。今後は、子どものみならず、保護者の方のメンタルでのサポートができるようになればと思っています。
── ほかにも、ハンディキャップを持つお子様のいるご家族のケアにも興味があると聞きました。 森さん:はい。今は表立った活動はしていませんが、これまでに受けたたくさんのサポートや応援へのお返しという意味もこめて、私たち親子と同じような方々に寄り添った活動をしたいと思っています。というのも、これまでに参加した患者会などで、まわりの目を気にしたり、引け目を感じたり、自分の殻に閉じこもってしまうご家庭を何組も見てきました。ハンディキャップを持つ子どもがいることはデリケートな問題なので、ご家族の気持ちもわかるのですが、意外と本人は引け目などを感じずに、一生懸命生きようとしていたりします。だから、ご家族も堂々としていてもいいと思うのです。
裏方に回って、その子の生きるステージの準備をしてあげて、堂々とやりたいことをやらせてあげたほうが、きっと家族全員が明るく楽しい毎日を過ごせるのではないでしょうか。私は、そう思えるヒントをスキーからたくさん学びました。スキーを通して学んだ、新しい考え方やモノの見方を、ハンディキャップを持つ子どものいるご家族にもシェアしていけたらうれしいと思っています。 PROFILE 森 幸さん もり・ゆき。東京都出身。アルペンスキー元日本代表。元全日本スキーデモンストレーター。 東京都スキー連盟副会長、日本障害者全日本スキー連盟理事を経て、現在は全日本スキー連盟理事・日本トライアスロン連合理事などを務めるかたわら、青山学院大学の体育会スキー部のコーチにも注力している。国の指定難病である肺高血圧症を抱える、娘の未瑠加(みるか)さんとの日常の一コマをインスタグラムに投稿している。
取材・文/安倍川モチ子 画像提供/森幸
ちゃんと 編集部