「バッキバキの脚」で世界大会2位に輝いたボディフィットネス界の新星! それに勝る宝物は師・木澤大祐と過ごした時間
12月17~19日の3日間、東京の有明コロシアムで開催された『IFBB世界フィットネス選手権&男子ワールドカップ』。選手はそれぞれの想いを胸に舞台に望んでいただろうが、「師匠・木澤さんと過ごした時間が、私にとってかけがえのない時間でした」と味わうように話してくれた選手がいる。 【写真】佐々木絢美選手の筋肉美
2024年、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の大会で衝撃のデビューを飾り、その名を轟かせた佐々木絢美(ささき・あやみ/38)選手。日本のレジェンドビルダー・木澤大祐選手の元で学び、ジュラシックイズムを継承したボディフィットネス界の新星だ。佐々木選手は19日に行われたボディフィットネスのマスターズ(35~39歳級)と158cm以下級の2カテゴリーに出場し、それぞれ2位と3位という結果を残し、輝くメダルを手に入れた。 今年、佐々木選手は一貫して「木澤さんと同じ景色を見たい、という思いで突き進んできた」と話していた。同じ景色というのは、10月に行われた日本最高峰を決める舞台のことだ。佐々木選手は午前中の『グランドチャンピオンシップス』に、木澤選手は午後の『日本男子ボディビル選手権』で優勝を果たす。大会名は違えど同じ会場、同じ舞台、同じ景色を味わうことができたのだ。 「10月の大会が最大の目標だったので、それを達成してしまったことにより、終わったような感覚になりました。ですが、周りからは12月の世界選手権へのメンバー入りがある!と言われていたので、正式な要請が来るまでは減量を続ける必要があるのかな?なんて思ったりもして。終わったはずなんだけど、まだ終わっていない……少しモヤモヤするような、不思議な感覚がずっとありました」 12月の大会で木澤選手、佐々木選手ともに日本代表に選ばれ、示し合わせたかのようにボディビルとボディフィットネスが19日に開催されることになる。日本の選手団は15日に召集があり、翌日の16日に佐々木選手は木澤選手とともに、ゴールドジムで大会前の最後のトレーニングを行ったそうだ。 「木澤さんの方から声をかけてくれて、一緒に背中トレーニングをしました。同じマシンを交互で使い、間近でトレーニングを見させていただいたんです。これまでパーソナルを受けたり、ジュラシックアカデミーで遠くから木澤さんのトレーニング姿をチラチラと眺めるだけだったので、こんな贅沢な機会はなくて……。私が勝手に思っているだけですが、木澤さんから『見て学べ』と言われているように感じました」 必要以上に口出しをするタイプではない木澤選手の心遣いを感じながら、師が刻む呼吸やリズムを学んだという。さらに出番である19日はともに過ごす時間が今まで以上に長かった。日本大会ではまず見られない、選手同士のパンプアップやオイルアップのサポート。佐々木選手と木澤選手は互いにオイルアップを行い、「涙を堪えながら師匠のオイルを塗った」と佐々木選手は話す。 さらに木澤選手から「パンプアップ、手伝ってもらっていいですか」と声をかけられて、身体の最終の仕上げを手伝ったそうだ。交わす言葉は少なかれど、その声かけに含まれた優しさと、実際にパンプアップしている姿から受け取ったのは師匠の偉大さ。追いかけ続けてきた背中が目の前にあり、無言で佐々木選手に語りかけてきたものがあるのかもしれない。 「お互いが選手としてステージ裏でサポートをしあうことは、もうないと思うんです。だからこそ、この世界選手権の期間で師匠と過ごした日々はかけがえのない時間となりました。私自身の結果も2位と3位ということで、ボリュームは必須ですが世界の選手とも戦えるレベルであることを確認できました。ただ、木澤さんに1位を……金メダルを届けられなかったことが悔しかったです」 師匠と弟子、心と心でのつながりを感じながら終えた初めての世界選手権。佐々木選手にとっては、結果以上に得られたものが大いにあったようだ。師匠とともに歩む2025年はどのような進化を見せてくれるだろうか。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文:小笠拡子 撮影:中原義史