弾劾賛成に「後悔はしない」 辞任表明の韓国与党代表
韓国の保守系与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は16日、記者会見を開き、辞任する意向を表明した。韓氏は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案への賛成を明言。14日の弾劾案可決につながったとして、党内から激しい批判を受けていた。 韓氏は「党代表としての正常な業務遂行が不可能になった。苦痛を受けたすべての国民に心から謝罪する」と述べた。 また、韓氏は戒厳令が宣布された際に韓氏や与党の議員の一部が解除を求めたことに言及し、「憲法と民主主義を守った。それが本当の保守の精神だと思う」と指摘。弾劾に賛成したことについては、「支持者を思うとつらいが後悔はしない。どんなことがあっても主権者である国民を裏切らないと約束したからだ」と説明した。 また、「不正選挙を唱える陰謀論者たちや極端なユーチューバーたちに同調したり、彼らが商業的に生産する恐怖にむしばまれたりすれば保守の未来がない」とも訴えた。 尹氏は野党が北朝鮮の影響下にある「反国家勢力」だと主張し、戒厳令を正当化している。与党が大敗した2024年4月の総選挙で不正があったと示唆する発言もしており、尹氏が右派系ユーチューバーのコンテンツから影響を受けていると指摘する韓国メディアの報道もある。 与党内では弾劾訴追案に反対する議員が多く、韓氏は弾劾以外の早期退陣の方法を模索してきた。だが、採決2日前の12日に発表された尹氏の談話で尹氏に早期退陣の意思がないと判断し、「弾劾賛成」を表明した。党自体は「反対」の方針を維持したが、少なくとも12人が造反し、賛成多数で可決された。 その後、党執行部の最高委員5人全員が辞意を表明。党指導部は事実上崩壊していた。【ソウル日下部元美】