《ブラジル記者コラム》 マンガは「悪魔の書」か?!=Jpopアニメ禁止のキリスト教会も
『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『幽☆遊☆白書』
例えば、次の作品はいずれもアニメ化されてネットフリックスでも見られるなど、ブラジルでも大人気の作品ばかりだ。 『鬼滅の刃』は英語で『Demon Slayer』ポ語でも『Matador de Demônios』(悪魔殺しの意)はポ語Wikiで《主人公が町に石炭を売りに行った間に家族を鬼に皆殺しにされ、妹の禰豆子だけが生き残ったが鬼に変貌してしまう。主人公は妹を人間に戻す方法を探し、鬼殺隊として戦う》と説明されている。「鬼」は「demônio」と訳されている。 鬼に変えられた妹を人間に戻すために、主人公は戦う。それをキリスト教的に読めば「demônioに変えられた妹」はあくまでdemônioであり、そんな妹に心を寄せる主人公に共感することは、読者がdemônio化することに他ならないとも読める。 『呪術廻戦』はポ語ウィキペディアの訳が『Batalha de Feitiçaria』(魔術師の戦いの意)で、主人公は、《学校のオカルトクラブに入部した15歳のアスリートである主人公は、腐った指に似た呪われた呪文が入った箱を見つけて開けた後、その学校は幽霊のような生き物に襲われる。仲間を守るために腐った指を食べた彼は両面宿儺という呪いに取り憑かれてしまう。彼は呪術教師の五条悟の指導の下、東京高等呪術専門学校に入学する》と説明されている。
中世にはカトリック教会による「魔女狩り」があった通り、宗教的にはオカルトや悪魔祓いは今もタブーな分野だろう。事実2014年5月、聖州グアルジャー市で主婦ファビアン・マリア・デ・ヘススさん(33歳)が、フェイスブックアカウント「Guarujá Alerta」で警鐘が鳴らされていた「子供を誘拐している魔女がいる」との噂の人物と勘違いされ、近隣住民にリンチ殺人された事件が起きた。ほんの10年前だ(3)。 『幽☆遊☆白書』は『Yu Yu Hakusho』ポ語ウィキペディア(4)では、《車にはねられ死亡した主人公は、冥界の支配者の息子から与えられた試練を経て人間界で起こるさまざまな悪魔や幽霊の事件を捜査する「異能探偵」の称号を与えられる。作者の富樫は、オカルトシリーズやホラー映画への興味と仏教神話の影響を受けて開始した》と説明されている。 そもそも主人公が交通事故で死ぬところから物語は始まり、「魔界」とか「霊界」がひんぱんに舞台になり、敵味方に妖怪がたくさん登場する。その上、主要脇役の閻魔大王の息子コエンマはポ語で「o filho do governante do submundo(死者の世界の執政者の息子)」とされる。キリスト教的に解釈するとかなり邪悪な存在かもしれない。