古河電工は強化型金属系超電導線材の提案に注力している。ニオブ3錫製の超電導線材の内部に緩衝材の役割を果たす銅ニオブの複合材を配置したもの。東北大学や量子科学技術研究開発機構（QST）と共同開発し、これまでの2～3倍の応力に耐えられることが特長となっている。2025年度をゴールとする現行の中期計画期間内にビジネスとして戦力化させたい考えだ。 　超電導線材は冷却すると電気抵抗がなくなる材料。細径ながらも大電流を流すことができる。金属系超電導線材は液体ヘリウム温度で超電導状態になるもので、同社では安定した特性で大量製造が可能。国内外の核融合炉実証プロジェクト向けなど、さまざまな用途で納入実績を有する。 　電磁石部品のコイル材料として使う際には、電流を流して磁場をつくる。大きな磁場を出す場合に発生する強い力で線材に負荷がかかった場合、特性が低下することが課題。銅ニオブ複合材を用いて内部を強化したニオブ3錫線材はその解決のために開発されたもの。強い力がかかる中でも電流特性の低下を抑えることができる。 　強化型ニオブ3錫線材をコイル材料として電磁石をつくることで、より強い磁場を発生させることができ、核融合分野では炉の小型化や高性能化に寄与できる見通し。すでに量産準備を整えており、アピールなどを進めている状況となっている。