「完全なサブ組から1.5軍に」町田浩樹が明かす日本代表の序列と海外での成長「広がった」範囲
北中米W杯アジア最終予選で奮闘を続ける日本代表ディフェンダー(以降、DF)の町田浩樹(27)。ホーム初戦の中国戦では、頭に頭突きを食らうなど危ない場面もあったが、7-0の完封勝利に貢献。そんなA代表で存在感を増す町田だが、東京五輪ではほとんど出場機会が得られず、その屈辱をバネに海外移籍を決意する。選んだのはベルギー1部のロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズだった。町田と同じポジションの冨安健洋(アーセナル)と伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)を負傷で欠く日本代表で、その浮沈のカギを握る27歳に、最終予選への思いやベルギーでの進化などについて、話を聞いた(インタビュー#2)! ■【画像】「お見事」チームを110年ぶり優勝に導いた町田浩樹「決勝ゴール」と「勝利のポーズ」
■「戸惑うことも多かった」Jリーグとの違い
サン=ジロワーズに加入すると、守備のセンターバック(以降、CB)の一角としてレギュラーの座をつかみ、最終順位2位で終えたクラブの上位進出に貢献。 このシーズンはブライトンからのレンタルで在籍していた三笘薫とも共闘し、翌シーズンのチャンピオンズリーグ予備予選出場権の獲得に貢献した。 だが、ベルギーにやってきた当初は、Jリーグとの違いに戸惑うことも多かったという。欧州の選手としのぎを削る日々の中で、自身を少しずつ適応させていくことで、成熟につなげていったのだ。 「ベルギーリーグは、相手選手との1対1になる局面がメチャクチャ多い。 日本なら“組織で守る”という考えがベースにありますが、ベルギーリーグだとオープンな展開がずっと続く。広いスペースを1人で守らないといけないので、守備範囲はすごく広がったと思います」 190センチの高さを生かして敵をブロックし、速さを駆使して後方部のスペースをカバーする。そして、ボールを持てば、前方へのパスで攻撃の起点になる──。ヨーロッパで「モダンなCB」と評価される町田の活躍を、森保監督も追っていた。
■最終予選の中で「引っ張っていく立場に」
2023年3月の日本代表戦で、町田をA代表に初招集。同年9月に行われたトルコとの強化試合で、町田を初めてスタメンに抜擢したのである。 ここから町田は、日本代表のメンバーに継続して名を連ねるようになった。今年1月に行われたアジア杯にも参戦し、日本代表でその地位を確固たるものにしつつある。ベルギーで2年半にわたって戦ってきたことで自信が増し、日本代表での心の持ち方にも変化が生まれていると、町田は話す。 「代表に呼ばれたての頃と比べたら、だいぶ変わってきたと思います。サンジロワーズでカップ戦のタイトルを獲得したり、ヨーロッパリーグやカンファレンスリーグを経験したりして、僕自身の経験値が上がっている。 同時に、代表での序列も完全なサブ組から1.5軍というところまで上がってきました。 最初はサブ組でしたが、招集を重ねるごとに監督やコーチ、選手たちからの信頼が少しずつ高まってきた印象はあります。あとは、しっかり自分の立ち位置を確立することが次のステップになるかなと。 今後は、引っ張ってもらっていた立場から、引っ張っていく立場になってくるかと思う。W杯最終予選の中で、立ち位置は変わってくるかなと考えています」 町田浩樹(まちだ・こうき)プロフィール 1997年8月25日、茨城県生まれ。190センチ、80キロ。ポジションはセンターバック(CB)。長身を生かした空中戦の強さと、精度の高い左足のキックに定評がある。ジュニアユース時代から地元クラブの鹿島アントラーズの下部組織で育ち、2016年にトップ昇格。翌年、Jリーグデビューしたが、直後に全治6か月の大ケガを負う。復帰後、2019年シーズンはリーグ22試合に出場。2018年7月28日のガンバ大阪戦では、プロ入り初得点を決めた。2022年1月、ベルギー1部ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズへ1年半の期限付き移籍を発表。2月13日のシント=トロイデン戦で先発デビュー。その後、負傷で試合に出られない日々が続くも、2023年1月に復帰し、3月には同クラブへの完全移籍を発表。翌4月には、早稲田大学人間科学部を卒業したことを発表した。同5月9日、クロッキーカップ決勝で、ロイヤル・アントワープFC相手に決勝ゴールを挙げ、クラブを110年ぶりの優勝に導いた。日本代表としては、2016年、AFC U-19選手権のメンバーに選出され、準決勝のベトナム戦で初先発。2019年、AFC U-23選手権タイ2020予選に挑むU-22日本代表メンバーに選出され、世代別代表に復帰。その後、2021年の東京オリンピックでは、1試合に出場。2023年3月、キリンチャレンジカップ2023にA代表として初招集され、同年9月のトルコ代表との国際親善試合に先発出場。A代表デビューを果たした。今年6月、結婚を発表。また、サッカー少年たちを支援するプロジェクトにも携わっている。
田嶋コウスケ