オレオが新フレーバー開発にAI起用、売上5.4%増の92億ドルに
幻想的なスペースダンクから、ダートケーキやコカ・コーラまで、世界的人気を誇るオレオ・クッキーには独創的なテイストが尽きない。オレオはじめ、キャドバリー、リッツ・クラッカーズ、チップス・アホイなど数多くの有名スナックブランドを所有するモンデリーズ・インターナショナル(以下、モンデリーズ社)は、スナック菓子のイノベーションの限界に挑戦するため、人工知能(AI)を導入し始めている。 モンデリーズ社の食品科学者たちはAI技術を駆使し、外見に合わせたそれぞれのフレーバー・コンセプトを生み出している。AIはフレーバーの調合に加え、環境への影響、栄養価、生産コストなどの側面も評価する。この手法を使えば、従来の試行錯誤の手順に比べて開発期間を2~10週間短縮し、新製品の発売プロセスを加速化することができるという。 AIでのレシピ作成の成功率はまだまだ低迷しているが、デジタルの「味見役」が品質を保証する上で果たす役割は重要果だ。この取り組みでモンデリーズ社と協力したThoughtworks社のプロダクト・ディレクター ファルーク・アリ氏によれば、AIは人間の創造性のチェンジメーカーとして機能し、人間の発想からは生まれないようなアイデアをも創出するという。 2019年に初めてAIを導入して以来、モンデリーズ社は70以上のプロジェクトでこの技術を活用し、グルテンフリーのオレオ開発や既存のレシピの改良に役立ててきた。開発者はこのツールを使うことで、レシピ生成以前に、味の属性、コスト目標、栄養目標などの主要パラメータを設定できる。その後で開発者はサンプルを作成し、フィードバックを提供し、AIが反復サイクルで提案を改良するわけだ。 モンデリーズ社におけるAIの役割は、味の革新だけにとどまらない。同社は最近、パーソナライズされたコンテンツを作成するAI主導のマーケティング・プラットフォームを立ち上げ、進化する消費者の好みの先回りを目指している。 今年に入って株価が16%下落したにもかかわらず、モンデリーズ社の2024年第3四半期決算は好調で、売上高は5.4%増の92億ドル、営業利益は21%増となった。AIがスナックの製造とマーケティングの技術を磨き続けるなか、菓子の未来はこれまで以上に「美味」かつ効率的なものになりそうだ。 ※本稿は英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」2024年12月23日の記事から翻訳転載したものである)
Forbes JAPAN 編集部