【宝塚記念】ブローザホーンGⅠ初V 悲願ビッグタイトルに6年目23歳・菅原明良騎手「強かった。馬に感謝」
上半期を締めくくる宝塚記念が18年ぶりに京都競馬場で行われ、菅原明良騎手(23)=美・高木=騎乗で3番人気のブローザホーンが雨が降りしきる中、外ラチ沿いを鮮やかに抜け出してGⅠ初制覇。菅原明騎手、吉岡辰弥調教師(48)=栗=も初のGⅠタイトル。これで今春のJRA・GⅠ平地12戦はすべて違うジョッキーが勝利した。2着は7番人気のソールオリエンス、3着に5番人気のベラジオオペラが入った。 【写真】ブローザホーンで宝塚記念を勝利し、抱き合って喜ぶ菅原明良騎手と吉岡辰弥調教師 スタンドからの「アキラ」コールに右こぶしを突き上げて応えた。ブローザホーンとともにつかんだ初のGⅠタイトル。泥まみれの勝負服のまま、菅原明騎手は勝利の余韻をかみしめた。 「返し馬から(ファンの)声を感じていたので、『期待に応えないと』と思って頑張りました。直線を向いてすごくいい脚だったので気持ちよかったです」 レース直前に止んだ雨がスタート直後に再び降り出したが、これも〝恵みの雨〟。鞍上は「悪い馬場でも苦にしない」とパートナーを信じた。道中は最後方からレースを進め、3コーナー付近でポジションを押し上げて直線へ。「4コーナーを回ってくるときもとても余裕があって手応えあった」と大外に持ち出すと、ファンの目の前の外ラチ沿いを力強く伸びた。メンバー最速タイの上がり3ハロン34秒0の末脚で鮮やかに抜け出した。 自宅は中山競馬場の近くの菅原明騎手。障害レースで活躍した三浦堅治元騎手が叔父におり、生まれたころから競馬が身近にあった。幼い頃から騎手を志し、小学5年で中山競馬場の乗馬苑で乗馬を始めた。2019年にデビューすると、小柄な体形と当たりの柔らかいセンスの良さが光り、21年からは3年連続で70勝以上をマーク。23歳ながら、騎乗技術は後輩の永野騎手や石田騎手から尊敬されているほど。大舞台に挑むこと23度目でついに大輪を咲かせた。 管理する吉岡調教師にとっても開業5年目でGⅠ初制覇。「(定年で解散した)中野厩舎から預かった大切な馬。ひとつGⅠを取れて、恩返しになったと思っていますし、関係者に感謝したい」と喜びをかみしめた。今後については「GⅠホースとなっていろんな選択肢が出てくると思います。オーナーと相談しながら今後は決めていきたい」と話した。 「乗るたびに成長を感じますし、まだまだここからGⅠをたくさん勝ちたいと思いますので頑張ります」。愛馬をたたえた菅原明騎手。GⅠジョッキーの仲間入りを果たした若武者とブローザホーンはこれからも輝き続ける。(北池良輔)