高齢者の脱水“5つの原因”とは? 年間を通して脱水対策が必要な理由【介護福祉士解説】
高齢者の方にとって気を付けるべき症状のひとつに「脱水」があり、さまざまな疾患の発症リスクを上げる原因にもなります。最悪の場合、脱水の症状が悪化して命を落とすことも。そこで高齢者の脱水症のリスクや予防策について、高齢者施設で介護福祉士として勤務経験のある尾崎さんに解説してもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
高齢者は脱水になりやすい? 主な原因は?
編集部: 高齢者が脱水症になりやすい原因はなんでしょうか? 尾﨑さん: 原因は大きく5つ挙げられます。 ①加齢によりのどが渇きにくくなる ②腎臓の機能が衰え、体内の水分を調整することが難しくなる ③筋肉量が低下し、体内に保持する水分量が低下してしまう ④頻繁に尿意を感じ、失禁を恐れて水分補給をしない ⑤利尿剤により排出される水分量が多くなる これらが高齢者の脱水症の主な原因として考えられます。 編集部: 近年猛暑の中エアコンをつけず脱水を起こし、熱中症になったというニュースをよく見かけます。なぜこのような事故が起こるのでしょうか? 尾﨑さん: 高齢者は暑さを感じる機能や汗をかく機能が低下します。そのため、例えば暑い部屋の中にいても、暑いと感じずにエアコンをつけなくても平気と判断してしまうことがあります。さらにのどの渇きも感じにくくなっているため、猛暑でも水分補給をあまりしないことで脱水症になるのです。またエアコンの風が嫌いという理由でつけない方もいらっしゃいます。 編集部: では、夏場の脱水に注意すればよいですか? 尾﨑さん: いいえ、高齢者の場合は冬も注意が必要で「かくれ脱水」と呼ばれる脱水症になっている場合があります。かくれ脱水とは脱水症になる前の段階のことを指し、体がだるい、集中力がない、のどが渇く、ふらつきがあるなどの症状が現れます。かくれ脱水が進行すると本格的に脱水症になってしまうため、そうなる前にこまめな水分摂取と適度な塩分補給を行う必要があります。