マッツ・ミケルセン「ライオン・キング:ムファサ」でもやっぱり悪役 「気にしないよ。米国流とはそういうもの」
ハリウッド大作でおなじみ、でも悪役ばっかり。「007/カジノ・ロワイヤル」のル・シッフル、「ドクター・ストレンジ」のカエシリウス、「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」のグリンデルバルド、「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」のユルゲン・フォラー……。みんなこの人、マッツ・ミケルセン。日本にファンも多いが、なぜかヒーローに倒される。声優として出演した「ライオン・キング:ムファサ」でも、主人公ムファサと敵対するキロスである。 【写真】「ライオン・キング:ムファサ」で主人公ムファサと敵対するキロスの声を演じたマッツ・ミケルセン
デンマーク映画は特別
欧州映画ではシリアスな役もコメディーも、なんでも来いなのに、悔しくないですか。「そういうもんだよ。いかにもアメリカ流なことが二つあるんだ」といたずらっぽく。「一つは、うまくいったらもう1回やらせる。もう一つは伝統的なハリウッド流儀で、悪者は外国から来てへんななまりがあるってこと。だから私に回ってくるんだね」 冗談めかして言いながら、故郷デンマークへの目配りも忘れていない。「自分が出ているハリウッド映画を気に入った人が、デンマーク映画を見てくれるでしょう。デンマークの言葉も文化も物語も、自分にとっては特別。一方で、私はアメリカ映画を見て育ったけど、剣を使ったアクション大作なんか、デンマークでは絶対できない。ウィンウィンだよ」。インタビューでは悪役っぽさなどみじんも感じさせない、気さくで快活。
ただの悪ではなく理解できる人物に
それに、と付け加える。「俳優の99%は、ただ仕事をしたがっている。やりたくないとは言わないものだ。私は運良く、悪役でもタイプの違うキャラクターを演じてきた。ドラマ『ハンニバル』のレクター博士と『ライオン・キング:ムファサ』のキロスでは全然違う。コメディーやシリアスなドラマは、デンマークでできるしね」 とはいえ、ハリウッドの憎まれ役はステレオタイプになりがちだ。「物事を善悪に分けるのは、とてもアメリカ的だと思う。日本でもデンマークでも、人間は悪いことも良いこともするはずだ。だから理解できる、身近に感じられる人物として造形したい。それに、悪者はたいていヒーローより役が小さい。あなたが主役なら、映画はあなたのためにあるし、そうでないなら、あなたが映画のためにあるってことかな」