頂点を見据え、研ぎ澄ます武知海青の美学「頑張る以外の選択肢はない」
THE RAMPAGEは「登山で例えると7合目」
これまでの活動の軌跡や、未来を見据えたインタビューはもちろん、武知家族の座談会まで収録された充実感たっぷりの『BULLET』。そのなかには「完璧になりたいけど、なれない」という、武知の根本に在り続ける葛藤についても触れられている。 「THE RAMPAGEとして活動するなかでも、常にその葛藤は感じています。トレーニングと同じく、エンターテインメントもゴールがない世界なので。自分で定めた目標に向かって突き進んで、着実にクリアしていくしかない。最近はそんなジレンマも楽しめるようになってきたんですけど、デビュー当時はまったく楽しめなくて、練習のたびに『帰りたい』と思っていました」 武知にとって、いまのTHE RAMPAGEは登山で表すと「七合目」。残り三合を踏破するには、ドームツアーやワールドツアーなど、大きな目標をいくつも越えねばならない。 「頂上まで行くには、一人ひとりが自分と向き合って、奮い立たせるしかないと思います。僕ひとりだけが目指していても限界がある。メンバーそれぞれが、自分自身で『てっぺんに行くために必要なもの』に気づいて、そこに向かっていくしかない。全員が同じ意識を持てたら、まさにOne for all All for one、ものすごい力になりますよね、きっと。今回も全員で肉体改造ができたんだから、一人ひとりがやるべきことをやっていたら、辿り着けると思います。理想とする頂上に」 半ば確信を持って語る武知の目には、おそらくすでに見えている。THE RAMPAGEとして行き着くべきゴールがどこにあるか、そして、そこからどんな景色が見えているのかも。
「頑張る」以外の選択肢はない
THE RAMPAGEのパフォーマーとしての活動を主軸に、次々と新しい世界に踏み出しては、目標を達成している武知海青。彼が、いまこの瞬間に見据えている“課題”は何なのだろう。 「夢、いっぱいあります。どうしたら辿り着けるかを、毎日模索している感じです。がむしゃらに頑張るというよりは、ゴールを決めてから逆算して、到達するまでの道をつくる感覚のほうが近いかな。僕が頑張り続けることで、誰か一人でも『自分も頑張ろう』とついてきてくれたら嬉しい。それが数珠繋ぎになって、努力の連鎖が繋がってくれたらいいな。僕にはもう『頑張る』以外の選択肢はないんですよね」 9月25日には『最強スポーツ男子頂上決戦2024秋』が、そして29日にはプロレスラー・武知青海にとっての第2戦目『DRAMATIC INFINITY 2024』が控えていた。(※取材日は9月上旬)その間隔は4日しかなく、それぞれに適した身体に調整するのも、彼にとっては新しい挑戦だ。過酷だが、武知は「いまから楽しみ」と目を輝かせる。 「とにかく、試合を観にきてくださる方に、何かを届けたい。一人ひとりの背中を押したい。タイトルを獲りたい、ベルトを巻きたいといった気持ちよりも、応援してくださる方全員に何かを持ち帰ってほしい。その思いしかありません」 生粋のエンターテイナーだ。THE RAMPAGEのパフォーマー、そしてプロレスラーとして公の場に立ち続ける彼を支えるのは、自分自身はもちろん、ファン全員を鼓舞したい“魂”が原動力になっているのかもしれない。 「自分を変えられるのは、自分しかいません。可愛くなりたい、綺麗になりたい、カッコよくなりたい、強くなりたい……その願いを叶えられるのは自分自身。自分さえやる気にさせてしまえば、あとはもうなんでもできちゃうんですよ。些細なことでもいい。何か一つやり切ると決めて、自分を信じて走り抜くこと。ぜひ思いついたことにチャレンジしてみてください。諦めるのは、始めてからでも遅くはないですから」 武知海青の言葉は、どこまでもシンプルで自然体だ。それは彼自身が何度も迷い、苦しみ、諦めかけたことがあるからだろう。一筋の弾道となってまっすぐ届く言葉に導かれ、これからも、見たことのない景色を見せてくれるに違いない。 取材・文:北村有 <書籍情報> ボディ・ビジュアルブック『BULLET』 発売中!