ホンダの元祖ネオクラシック路線、CB・CBX系デザインを受け継いだジェイド【JADE】
レプレカベースのエンジンを、扱いやすくリファイン
先にも触れたようにエンジンはCBR250RRをベースにしているが、バルブリフト量を吸入側を5.9mmから5.2mmに、排気側を5.4mmから5.0mmに変更することで流速を早め、低速域でのスワール効果を高めてより安定した燃焼を実現。また、吸気、排気共に大幅にバルブタイミングを変更し、オーバーラップをゼロにすることでエンジン回転数にによって変化する排気脈動の影響を抑えるみとでスロットルの開閉に対するリニアリティを向上させている。また、キャブレターのスロットルバルブのセット角も変更されており、スロットル開度の急激な変化を抑えることで低速域でのリニアリティを向上させている。その結果、エンジンのスペックは最高出力40PS/14000rpm、最大トルク2.4kgm/11000rpmとなり、トータルでCBR250RRよりも低中速域での扱いやすさが向上している。 足回りはフロントにテレスコピックタイプフロントフォーク、リアに角形スチール製スイングアーム+モノショックというサスペンションに前後17インチホイールをセット。ハンドルの切れ角は38°と大きく取られ、ブレーキは前後ディスクタイプが採用されている。ホイールベースは同年式のCBR250RRの1345mmに対して、1420mmと長めにすることで軽すぎない落ち着いた走行感覚を生み出している。
ジェイドはもっとヒットすべきだった名車だ
この1991年前後に発売された250ccクラスのネイキッドバイクの中で、最もヒットしたのはカワサキのバリオスであろう。ジェイドは1992年にスポーティさをアップしたジェイドSをラインナップに加えるなどしたが、残念ながら売り上げを伸ばすことができず1993年モデルで生産中止となる。このジェイドの後継となるのは同系統のエンジンを搭載し、よりスポーティなデザインを纏ったホーネットだ。1996年登場したホーネットは大ヒットモデルとなり、バリオス/バリオスIIとともに200年代まで250ccネイキッドバイクシーンを牽引した。 最後に、今更ではあるが、なぜこれだけよくできたジェイドがヒットしなかったかということを少し考えてみたい。デザインは今見てもよくできていて、同年代の250ccネイキッドバイクの中では最もまとまって見える。エンジンや車体も申し分ない仕上がりだ。車名の「ジェイド」はヒスイを意味するのだが、このネーミングが例えば「CBX250F」や「CB250SF」だったらどうだろう? また、ジェイドS以外は濃いめのグリーンやブルーといった地味目の単色カラーリングを主に採用していたのだが、CBX400Fのような赤白のツートンカラーがあったらどうだったのだろう? もちろん当時のホンダにはホンダの考え方があったのだとは思うが、他メーカーのネイキッドモデルが過去のレジェンドバイクのイメージを使うことで成功したことを考えると、ホンダも限定車などでもっと積極的にレジェンドバイク仕様を試してみても良かったのではないかと思う。
ジェイド主要諸元(1993)
・全長×全幅×全高:2060×710×1105mm ・ホイールベース:1420mm ・シート高:780mm ・車両重量:161kg ・エジンン:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒249cc ・最高出力:40PS/14000rpm ・最大トルク:2.4kgm/11000rpm ・燃料タンク容量:14L ・変速機:6段リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=100/80-17、R=140/70-17 ・価格:49万9000円(当時価格)
後藤秀之