長野と東京「二地域居住」に注目 青木村でコンパクト住宅の体験入居へ
都市と地方の両方に生活拠点を持つ「二地域居住者」向けの田舎暮らし体験住宅が長野県青木村で完成し25日、見学会が行われました。家族そろっての移住・転職に比べ無理なく実現できる「二地域居住」は都会と地方の生活の両立を図るものとして長野県などが促進を検討。コンパクトな体験住宅に住んでもらうことで二地域居住のきっかけをと期待し、4月から体験入居を進めます。 【写真】「40代の地方生活」「地元でプチ移住」 泊まって分かる田舎暮らしのリアル
移住者の20組が今も東京に通勤通学
都会と地方の両方に生活拠点を持つ「二地域居住者」は、将来の完全な移住に向かう前段階の動きとして自治体が最近注目しています。一気に家族全員が地方に移住して仕事探しから始めるのは大きな負担を伴います。このため仕事や学業の拠点を都会に持ちながら無理なく地方に住む試みとして注目されているのです。 青木村の場合は村内への移住者のうち20組近くが新幹線で東京に通勤、通学し、従来の東京での仕事や学業を維持しています。時には仕事などの関係で都内に宿泊することもあり、二地域居住の形が自然に作られています。 完成した二地域居住者向けのコンパクト住宅は、長野県と建築士などを含む長野県住まいづくり推進協議会が構想をまとめ、青木村と木曽町の2か所でそれぞれ別のコンセプトを持つ体験住宅として公開しました。青木村での建設費は約1300万円。
住宅にはあえてシャワーしかつけず
家族が一時的に分かれて暮らしたり行き来することを想定して住宅はコンパクト。青木村の場合は、木造2階建て延べ床面積約64平方メートルの1LDK。カラマツ、アカマツなどの長野県産材を61%使い、木の香りの中で田舎暮らしが楽しめます。 1階のリビングに木製のテーブルや椅子を置き、台所の調理台も木製。2階は板張りの寝室などに使い、ベッドは4つほど置けます。アウトドアを楽しむ人のために玄関の土間を広く取って自転車や登山の装備品などをゆったり置けるようにしました。
この住宅には風呂はなくシャワーだけ。建設に携わった一級建築士の鈴木敏之さん(長野県東御市)は「村内の温泉が近いので、風呂より温泉に入ってもらおうという提案です」。青木村の移住・定住・空家担当職員・津田直樹さんは「温泉で村の人たちと自然に交流し地域になじんでもらおうというもう一つの大きな期待があるんですよ」と深い狙いを説明しました。 青木村によると体験入居は今のところ5月の連休に都会から4人家族が予約。村では最長2週間の体験入居を予定しています。「すでに他からの問い合わせも来ている」と青木村。体験入居をきっかけに二地域居住の動きが広がることを関係者は期待しています。