Jベテラン戦士が驚き「こいつは伸びるな」 一瞬対峙で「分かる」…9歳年下DFの伸びしろ
現役引退を表明したDF宇賀神友弥の目に映った27歳DFの将来性
J1の浦和レッズは12月8日にリーグ最終節でアルビレックス新潟と戦う。シーズン最終戦であり、今季限りでの現役引退を表明しているDF宇賀神友弥にとってはラストゲームだが、「ファーストプレーからいかせていただきます」と、ガチンコ勝負を宣言した。 【実際の様子】浦和サポーターが掲げた「弱くて魅力ない」クラブ批判の横断幕 36歳の宇賀神は浦和ユースからトップ昇格は果たせず流通経済大へ進学したものの、3年時の練習参加で当時のフォルカー・フィンケ監督に高く評価され加入が決まった。浦和におけるユースから大学経由での加入の先駆者となり、のちに多くの後輩も続いた。今夏にベルギー移籍したMF伊藤敦樹もその1人で、背番号「3」を受け継いでいた後輩からは引退発表後にメッセージも届いたと言い、「大学に行った時からウガさんを目標に頑張ってきましたみたいな、ちょっと熱いメッセージだったので、すごく嬉しかった。頑張ってきて良かった」と微笑んだ。 2021年末に一度は契約満了となり、2シーズンをJ3のFC岐阜で過ごしたところから今季浦和に復帰した。6月30日のジュビロ磐田戦で試合終了間際に途中出場したものの、今季の公式戦はその1試合のみの出場になっている。しかし、この現役ラストゲームでは何らかの形でピッチに立つと見込まれる。 FW興梠慎三も今季限りで引退するため、どこか「花道を用意する」ような印象もある。しかし、対戦相手の新潟はまだJ1残留が決まっておらず、敗戦すれば得失点差を踏まえても現実的な降格の危機に瀕する。昨季の浦和は最終戦で北海道コンサドーレ札幌とアウェーで対戦し、スタメン出場したMF小野伸二を前半途中での交代時に札幌と共同で花道を作って送り出した。小野が浦和でキャリアを始めた選手ということもあり良い光景だったが、試合中どこまで強く当たるかという点は少し逡巡も見えた。新潟がそのような状況を受け入れることはできないだろう。 ただし、そのような試合でこそ宇賀神が強みを発揮しそうな予感もあり、「最後、何もかかっていないというか、お互いにただ順位が動くだけみたいな状態の試合よりは、そういう試合のほうがやりやすい。もちろん、それはファーストプレーからいかせていただきます」と宣言。「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を僕はまだ経験してないんで、そこは怖い。J3の時にVARがあったら退場だな、みたいなのもあった」と苦笑した宇賀神だが、現役最後の試合でカードを受けることも辞さない激しい当たりも見られそうだ。 引退後の夢を浦和でGM(ゼネラルマネジャー、強化責任者)になることと明言している宇賀神には、社会人チームなども含めいくつかの問い合わせもあるという。それらを選択肢の1つとした宇賀神は「いきなり浦和レッズの強化の部分をやるのもどうなのかとか色々考えているので、僕の人生、サッカー人生もそうだけど、コツコツ実力をつけて、最後に帰ってくるみたいなところが自分らしいかな」とも話した。 柔道家は組んだ瞬間に相手の強さが分かるというが、宇賀神もまた「こいつ伸びるなとか、上に行くんだろうなとか、一瞬対峙すると分かることもある。それはJ3でもそうで、上に行くなと思うと、シーズン終わりに抜かれた」と話す特殊な眼力の持ち主だという。それは昨季カマタマーレ讃岐に所属し、今季ジュビロ磐田に移籍した27歳DF川﨑一輝に感じたと話した。そのような能力を引退後に生かす姿もまた楽しみなことだ。 ただ、ラスト1試合プロサッカー選手としての時間が残っている。「対戦相手の新潟さんも非常に難しい状況なので、本当に真剣勝負をしっかりと見せなきゃいけない」という言葉のままのプレーが期待される。
轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada