14日以上の連続勤務禁止、副業の割増賃金 労基法見直しへ骨子案
厚生労働省の有識者研究会(座長=荒木尚志東京大大学院教授)は12日、労働基準法見直しに向けた報告書の骨子案を示した。14日以上の連続勤務の禁止や副業している人の割増賃金の計算方法の見直しなどの提言を盛り込んだ。報告書をまとめた後、来年度に労働政策審議会で具体的な議論が開始される見通し。 骨子案では労働者の連続勤務日数を見直すべきだとした。現行の労基法では、週1日の休日を原則としつつも、4週間を通じて4日以上の休日の付与を企業などに義務付けている。この「4週4休制」では、最長で48日間連続勤務が可能となり、労使協定(36協定)を結べば休日労働を命じることもできるため、事実上連続勤務の制限がない。労働者の健康確保の観点からこの規定を改め、14日以上の連続勤務を禁止すべきだとした。 週40時間を超えた時間外勤務に払う割増賃金について、会社員が副業している場合、本業先と副業先の労働時間を合算して計算する現行制度を見直す案も示された。現行の労基法上、使用者は1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働かせる場合は、36協定を結び、割増賃金を支払う必要がある。本業、副業の使用者双方が1日単位で細かく労働時間を管理しなければならない。 労働時間の合算は労働者の健康確保の目的もあるため維持しつつ、割増賃金の支払いについては適用しない制度の検討を提案。使用者にとって煩雑な仕組みを改め、副業や兼業を促進する狙いがある。 終業から始業までに一定の休息時間を設ける勤務間インターバルは努力義務にとどまっているが、さらなる義務化は引き続き検討が必要だとした。フランスなどで導入されている勤務時間外に会社からの連絡に応じなくてよい「つながらない権利」は、「労使の話し合いを促進していくための方策を検討することが必要」と明記した。【堀菜菜子】