サヨナラ満塁本塁打の日ハム・西川「何が起きたかわからないくらい興奮」
勝者が王手をかける日本シリーズの第5戦が27日、札幌ドームで行われ、日ハムが、西川遥輝(24)のサヨナラ満塁本塁打で広島を5-1で下し10年ぶりの日本一に王手をかけた。中4日で先発した広島のジョンソンが6回を4安打無失点の力投、日ハムの2番手としてロングリリーフを任されたメンドーサも、5回3分2を1安打無失点に抑え、1-1の緊迫した試合となったが、9回二死満塁から西川のサヨナラ満塁本塁打での劇的な幕切れとなった。第6戦は29日にマツダスタジアムに場所を移して行われ、日ハムは“リアル二刀流”の大谷翔平、背水の広島は、エースの野村祐輔が先発予定。 それは、田中の四球から始まった。1-1で迎えた9回。広島は、マウンドへストッパーの中崎を送る。一死から田中が四球を選ぶと、市川にバントのサイン。二死になっても得点圏にサヨナラ走者を送る、高校野球戦法である。市川が確実に決め、二死二塁から中島はボテボテのゴロ。だが、難しい体勢で処理した中崎の送球が間に合わず、二死一、三塁のサヨナラ機を作った。 ここで岡は死球。両軍の選手がベンチから出てくるほど殺気立ち、札幌ドームが異様な興奮に包まれる中、西川がライトスタンドへ劇的なサヨナラ満塁本塁打。栗山監督が「打った瞬間に越えるのはわかった。どこまで行くかわからなかったが、みんなの思いが遥輝の打球の乗り移った」と絶賛する会心の一撃だった。 試合後、お立ち台に呼ばれたのは、もちろん西川。「俺のために優勝しろ、武田勝」と書かれたTシャツを着た西川は、「僕も何が起きたかわからないくらい興奮しています」と第一声。 打席に入る前の心理を聞かれ「岡さんが、ああいう形でデッドボールを受けて燃えるものがあった。ここまで打てなかった僕を打席まで送り届けてくれた監督に感謝しています。(打球を見ながら)頼むからいってくれと思いました」と答え、「本当に興奮していたんで、叫びすぎて喉が枯れてしまいそうなくらいです」と続けた。 ここまでシリーズでは打率1割台に苦しみ、この日も1番から2番に打順が変更されていた。 「あきらめず、城石打撃コーチと練習を続けた結果、いいところで打てた。少しでも恩返しができたかもしれません」と語り、ベンチでインタビューを見ていた栗山監督の顔をみて、泣きまねのジェスチャーをした。 「ファンの皆さんと、ベンチにいる裏方さんが、あそこまで(打球を)運んでくれたと思います。ほんとに自分にとっても、ファンの皆さんにとっても最高の形になったと思います」と晴れやかに語った。 最後に王手をかけて広島に乗り込むことについて質問され、「4万人のファンの皆さん! 全員で広島にいくぞお」と絶叫して、劇的なヒーローインタビューを締めくくった。 ちなみに1992年のヤクルト対西武の日本シリーズ第1戦では、ヤクルトの代打・杉浦享が、延長12回に「代打サヨナラ満塁本塁打」を記録していて、サヨナラ満塁本塁打は、シリーズ史上2人目。