最低賃金の引き上げに悩む中小企業 石破総理の掲げる時給1500円「絶対無理」【WBS】
景気ウオッチャーの声は?
取材した百貨店では消費の二極化が進んでいるということでしたが、内閣府は毎月、街角の人々に景気について尋ねる景気ウオッチャー調査を実施しています。11日、その調査結果が発表されました。 10月分の調査の中身を見てみると、東北のホテルスタッフは「紅葉の時期に入りインバウンドが増えている。過去最高だ」と好調な様子で、引き続きインバウンドの消費活動は活発なようです。 一方で、国内の消費については東京のタクシー運転手は「昼間は客がいるが、終電後の動きがだいぶなくなっている」としています。さらに甲信越のスナック経営者は「宴会もフリーの客も減り、ランチ客まで減っている。物価が急激に上がっているからではないか」と経営の苦しさを話しています。 この調査では景気の先行きについても調べています。10月の指数は前の月から1.4ポイント低下した48.3ポイント。景気の先行きへの不透明感は強まっているようです。 その要因の一つとして挙げられるのが、最低賃金です。甲信越のコンビニ関係者は「最低賃金の上昇は、中小企業の営業努力では賄いきれない」、さらに甲信越のレストランの経営者からも「最低賃金の引き上げなどに経営者側がついていけない」と、10月から順次引き上げられている最低賃金に絡むコメントが多く寄せられています。番組では、この最低賃金の引き上げに悩む現場を取材してきました。
最低賃金上昇に悩む店
東京・足立区にあるスーパー「ABS卸売センター本店」。特徴は商品の安さです。賞味期限が近い訳あり商品なども扱い、価格を抑えています。長年、地域住民を中心に根強い人気を集め、現在は東京と埼玉で5店舗を展開しています。 「普通の店が1つ売るところを3つ売り、利益も3分の1しかとれない。そのような薄利多売を愚直にやってきた店」(「ゑびすや商店」の唐鎌孝行社長) この店を支えるのは約70人いるパート従業員。数十年勤めるベテランも多く、貴重な戦力となっているといいます。 「時給はいくらですか」(大江キャスター) 「東京は1163円。それが10月からの最低時給なので」(「ゑびすや商店」の唐鎌孝行社長) パート従業員の約6割は最低賃金で働いているのが実態です。東京都の最低賃金は先月50円引き上げられて1163円になりました。そのため唐鎌社長によれば「100万円までいかないが、60万~70万円くらい月々人件費がアップしている。厳しいとしか言いようがないが、やっていかないといけない」といいます。 食品を冷やすのに欠かせない電気代も一昨年から1.5倍になる中、人件費の高騰も経営の重しになっているのです。 こうしたなか、石破総理は最低賃金を2020年代に1500円まで引き上げることを掲げています。 「1500円という数字を率直にどう受け止めますか」(大江キャスター) 「絶対無理だと思う。300円くらい上がると赤字になる。売り上げ・利益をアップしていくことを成し遂げた企業だけが生き残れる」(唐鎌社長) ※ワールドビジネスサテライト