生成AIなどの新機能と導入メソドロジーで業界クラウドを完成 　Inforは、イベントで製品戦略として、（1）プロセスインテリジェンス／プロセスマイニング、（2）AI、（3）自動化――の3つを加えると発表した。2024年10月のリリースから少しずつ導入していく。 　（1）は、社内開発した新機能となり、プロセスを正確に把握したり、競合や業界標準との比較・分析、規制順守、継続的な業務改善を実現したりする。 　（2）では、生成AIの「Infor GenAI Assistant」として、会話ベースでシステムを利用できる生成AI機能を発表した。 　イベントのデモでは、生産管理担当者がメンテナンスのために、生産に支障が生じていることが判明し、どの機械がどのぐらい影響を受けるのかなどの情報を得て、その間にキャパシティーのある生産ラインを探し、そこで生産を継続するといったことを会話ベースで行う様子を見せた。 　Infor GenAI Assistantは、2024年10月リリースの段階では、一部ユーザーのみが利用でき、その後に拡大していく 　AIでも、100以上の業界とマイクロバーティカル向けの機械学習機能を用意するという。既に学校給食向けパッケージ企業の米Oliver Packaging ＆ Equipmentが機械学習を利用し、頻繁に変更する給食のメニューパターンを見い出して、対応を効率化するなどの事例があるという。 　（3）は、（1）でのプロセスマイニングと（2）のAIの準備としても活用できるものだ。Somasundaram氏が例を紹介し、請求書の自動化では、PDFファイルで送られてきた請求書をAWS Textractで柔軟に読み取り、ERPにデータを渡して3点を照合し、支払い処理をするという。AIとロボティックプロセスオートメション（RPA）を組み合わせて、1つのフローを自動化することができるという。 　顧客事例では、荷物コンテナー製造の米Ring Container Technologiesが、出荷時の船荷証券の発行や署名管理、保管、照合などの作業にAIを利用し、Inforのドキュメント管理ソリューションへ自動保存することにしたという。これによって、請求書や注文書への自動添付などの自動化も実装し、年間で7000時間相当の労働時間の削減を図ったほか、問題解決の速度が96％改善したという。 　Inforは、これらの最新機能を提供するに当たって、レディネス（準備の度合い）、プロセスのフィットとギャップの測定、実装を進めるメソドロジー「Time to Value」も発表した。欧州でも同手法を使う最初の顧客が登場しているという。 　基調講演の最後にSamuelson氏は、これらにより“完全な業界クラウド”が完成したとし、「われわれは、ビジネスや業種に特化した製品、データの整合性を保証するOSプラットフォーム、APIによる連携があり、自動化、AIと生成AI、プロセスマイニングなどの新機能を加えていく」と述べた。そして、DXプロジェクトの成功率が30％というMcKinseyの調査結果が示す現状に対し、「機能と導入・実装サービスを通じて、期待を“裏切らない”ではなく“上回る”ことを目指している」と締めくくった。 （取材協力：インフォアジャパン）