【中国No.1インフルエンサー 『劇場版 再会長江』竹内亮監督インタビュー】「激動の10年で最も驚いたのは、結婚観の変化だね!」
そんな風に価値観をガラリと覆してしまう原因、変化の要因といえば……。 「やっぱりネットがもたらした変化ですよね。情報革命はもちろん中国だけではなく、世界を変えましたよね。それがより顕著に出たのが中国なんだな、と思いました」 そうした情報の発達によって“初めて知った”とか“見たことがないもの”が減っていくのは、映像作家としては辛いところでもありますよね。 「いや、本当に困ります(笑)。だから僕の夢は、宇宙に行くこと。宇宙で暮らしてる人を撮りたいな、と。それはまだみんな見たことないな、と思ってはいるのですが……」 価値観が変わった一方で、ツームーさんと彼女のお母さんが、監督と10年ぶりに再会した瞬間、思わず感極まって泣いてしまいます。10年前にシャングリラ地区から監督たちに上海という大都会に連れて行ってもらったことが、本当に忘れられない思い出や初めての感覚だったのでしょうね。 「なぜ再会した時に、あんなにも彼女たちが泣いたのか僕自身にも分からないところではありましたが、当時、それほど大きな衝撃を与えていたのか、ということに気付かされました。そんなにも深く僕らのことを思っていてくれたのか、と驚かされました」 まさに、初めて世界に目を見開かされてくれた親と再会する懐かしさ、みたいな感動が伝わって来ました。色んなことがガラリと変わっていたものの、ツームーさんの現在の姿、ステキな生き方や選択や感性に、とっても感心して感動をもらいました。 「10年経って環境や状況はガラリと大きく変わったけれど、人間性みたいなものは基本、やっぱり変わらないんだな、と。ツームーの人間性が当時のままだったので、本当に良かったです。やっぱり経済が発展すると擦れてしまう人って、結構多いと思うんです。でも僕が本作関連で再会した人たちは、全員そういう感じにはなっていなかった。役に立つ人や自分を利する人としか付き合わない、みたいになってしまう人が少なからずいるかと思ったら、誰もいませんでした」 ちょっと驚いたのは、バンバンと呼ばれる港湾労働者(荷物を運ぶ人)の男性が、ご高齢に近い今も同じ職業で生きていたことです。しかも、嫌な態度の顧客に食ってかかって大喧嘩になる姿など、日本ではあまり見ない風景でもあるので。 「そこは、今も昔もあまり変わっていないかな(笑)。基本、中国人はみんな溜め込まず、思ったことを言い合いますからね。それもやっぱり10年前の方が多かったかな。確かに最近の中国の若者は、日本人にどんどん近づいているかもしれない。僕も何でもストレートに言う方なので、その変化は少し寂しいですね。なんでも素直に言い合うのが、中国の良さだと思っているので」