【中国No.1インフルエンサー 『劇場版 再会長江』竹内亮監督インタビュー】「激動の10年で最も驚いたのは、結婚観の変化だね!」
最後に“中国ってそんなスゴイの!?”こぼれ話
今や中国が世界のトップ2となった成長や変化を、どんな風に監督は見て来ましたか? 「初めて中国に行った10数年前は、当然ながら全ての面において日本の方が発展していました。でも今は、日本に来ると“不便だな”と思うことが多い。まさか、こんな時代が来るなんて、僕も思いもしなかったですよ。日本に帰ってきた感想が、“不便だな”なんて」 具体的には、何がそんなに不便なんですか? 「例えば、交通も通信も生活環境も、10年前は日本の方が圧倒的に便利でした。でも今は、そのすべてが本当に古いと感じてしまうんですよ。“どうしてアレがない? コレがないんだ!?”って、いちいち思います。例えば交通網。今や中国では飛行機も含め、どんな小さな田舎の町に行くにも新幹線が走っているので便利で早い。日本は10年前から新幹線の路線が変わらずに増えていないから、全国各地に行くのに不便だし値段も高いし、時間もかかる」 とはいえ技術的には日本の方が高い、例えば新幹線にしても日本の方が安全だと思っているのですが……。 「そこも既に逆転してしまっているだろうな。中国人が日本の新幹線に乗ると、揺れて怖いと言うくらいなんですよ。もちろんモノにもよりますが、家電をはじめ最新の科学技術を用いるものは、中国の方が上をいっている気がします。スマホにしても、中国製の方が安いし性能も高いですから。かつての“安かろう悪かろう”という発想は、限りなく古くて間違っています。そのイメージを更新できない限り、日本はこのまま世界で負けていってしまう。ただ素材に関しては、何百年も続いてきた日本の伝統的な技術には、叶わないと感じますね」 「車にしても日本は相変わらず大手数社のみしかありませんが、中国は新興企業がどんどん生まれ、車メーカーも100くらいあります。僕が使っているスマホの企業も、最近、車を作り始めたくらい簡単に作ってしまう時代に入っているんです。かつては東南アジアに行くと日本車の独断場でしたが、今は中国メーカーの車ばかりですよね。そうした変化を見て見ぬフリをしていると、日本マズいぞ、と思っています」 う~ん、暗くなってしまったので、敢えて今の日本の良い所を最後に挙げて下さい! 「アニメ(笑)。あと、旅行する国としては、日本は最高です。だからインバウンド需要がずっと増えているんでしょうね。日本の安さと安全性、そしてご飯がお美味しくて、トイレも町もとても綺麗。さらに日本人は礼儀正しい。そんな国って、やっぱり他にはないですから。日本のアニメと旅先としては、超イイですよ!!」 デジタルの発達は日本が世界各国より、かなり遅れているのは薄々知ってはいましたが、“映画の宣伝でも、中国はもはやチラシも作りません。中国で紙を見ることって、ほとんどないんですよ”と言われたのには驚きました。 もちろん、この連載枠でも何度か香港出身の監督にお話しをうかがってきて、今回のインタビューでは出なかったような“政治的なこと、思想的なこと、自由さ等々”についても考えあわせると、決して「中国、最高~!!」と言うことはできません。でも、世界における日本の現状を知るのは必要だし、そのためには中国の発展と現況に対する目をもう少し開いて、それを認めないと先がない……とも強く思い知らされたインタビューとなりました。 そして当の『劇場版 再会長江』は、文句なしに面白いのです! 中国という国の広大さを実感させられもしますし、この10年という激変を市井の人々の感覚から感じ取れるというのも、なかなか出来ないことだと思います。本当に異なった色んな文化や生活様式等々が一国の中に存在するということも、まざまざと見せつけてくれて本当に興味深い。みなさんの好奇心を、本作で大いに満たしてください!