【中国No.1インフルエンサー 『劇場版 再会長江』竹内亮監督インタビュー】「激動の10年で最も驚いたのは、結婚観の変化だね!」
最も驚いたのは結婚観の変化
10年前の番組を見ていなくても、現在の様子に10年前の映像が挟み込まれているので、そのあまりの変化を目撃できるというのが、本当に興味深かったです。ちなみに、あれは当時の番組映像の抜粋ですか? 「いえいえ、本作には一秒も、1カットも使っていません。当時の選り抜きのカットを使って番組を作ったので、もちろん使えるものなら使いたかったですが、莫大な使用料をNHKさんに支払う予算がまったくなかったので、それが今回、最も辛いところでしたね。今回使用した映像は、すべて自分たちが手持ちで持っていた未使用の素材ばかりです。もし番組映像を使えたら、もっと見栄えのいい画で10年の変化を効果的に比較できたのですが……」 なるほど……。でも、それがなくとも本作があぶりだす“中国におけるこの10年”の変化の大きさは、まさに市民レベルの肌感覚で感じることができました。それに本当に驚かされましたし、本当に興味深かったです。村自体がなくなっていたり、何がそこにあったのか想像できない状態に発展していたり。まさに激動・激変ですね! 「僕が最も変化の大きさを感じたのは、やっぱり人の価値観の変化です。それには本当に驚きました。例えばシャングリラというチベット族自治区に暮らす少女ツームーとその家族の結婚観の変化には、ビックリしましたね(笑)。つい10年前までは伝統的な結婚体制で、親が紹介した相手としか結婚できないと言っていた。何百年も続いてきた伝統だったそれが、たった10年で変わってしまうなんて! しかもツームーの妹にいたっては、“別に結婚しなくていい”という価値観に変わっていて、それを家族もみな認めている。何百年以上も続いてきた伝統が、たった10年のうちになくなってしまうのか、と」 【写真】こちらはツームーさんではなく、少数民族・摩梭(モソ)人の甄甄さん。長江の水源のひとつであり最も水質のよい湖のひとつでもある瀘沽湖のほとりにあるこの村は、古くから女性がリーダーを務める母系社会で、決定権はすべて女性が持ちます。この10年で、どんな変化が訪れたでしょうか!?