大神いずみ「野球って、なんて難しいスポーツだろうと思う。長男翔大は履正社の卒部式へ。夫・元木大介は息子のルーティンで打席に…」
◆久々の食卓 最近ルールが少しずつわかってくればくるほど、野球って本当に複雑なスポーツなんだと感じるようになった。 「うちの子達ホントにわかっててやってんだろか?」 日頃厳しいことを言いつつ、内心我が子を疑ってかかっているこの母をお許しください。 我が家は4人家族。このところ大阪から長男も帰ってきて久々に4人で食卓を囲んでいる。 今炊き上がったご飯がもう、ない。 兄が帰ってくるまでちょっと白飯の進みが落ちていた弟も、競うようにおかわりを重ねて何気にフーフー言っている。 おかずを作った側としては気持ちのいい光景だが、気づくと私の分の米も残っていない。 「痩せなさい」ということですね、はい了解。
◆すこぉしずつ野球を覚えていく毎日 食事時の会話の8割は野球の話なので、もうすでにこの母には、何のことだかさっぱりわからない。留学先で毎日わからない言葉に囲まれていたって3ヵ月もすればうっすら何を言っているかわかるようになりそうなものを、わたしは25年近く野球人と暮らしていてまだ「カタコト」の野球しかわからないなんて。むしろ珍しい。 今日も夫と息子達はこの母にわからない「野球脳トーク」で延々と話が続いていく。 「ちがうよ瑛介!」 「この状況でランナーの動きを見て打球が一二塁間を抜けそうになったらカバーに入るのはどっち?」(な…何だって??) 「バットをあんな風にこねて振り上げるから打ち上げんねん」(こねる、って…なにを?) 「パドレスのフアン・ソトがヤンキースにトレードで移籍だってー!」「すげぇー!」 BTSのメンバー7人が全員兵役に入った話題も、ここでは完全に弾き飛ばされてしまう。Vの短髪、かっこよかったのに…。 こうして私は今日も、家族の話題を外国語のようにちんぷんかんぷんで聞きながら、すこぉしずつすこぉしずつ野球を覚えていく毎日だ。
◆「もうダメだ」とは少し違う 実際に野球をやっている選手にとっての「9回ツーアウト満塁」は、あながち絶体絶命のピンチなのでもない、というのを知った。 たしかにあと一つのアウトで試合が終わってしまうのだが、打者にとっては打球が抜ければ得点のチャンス、ピッチャーにとってはあとアウト一つ取ればゲームセット。 一番集中力が必要な場面で、いろいろなところが見えていないといけない。その試合に携わるすべての者の野球脳が、キュルキュルキュルキュルとフル稼働している場面。 「もうダメだ」な語感で使う言葉とは少し違うのだということが、何となく私には理解できた。 そういえば結婚してから何度も夫に訊ねたことがあるのだが、あの「9回裏2アウト満塁」で負けている場面、場所は甲子園球場。逃げ出したいと思ったことはないのか、と。 ちなみに私だったら間違いなく、頭の中は一旦死んだフリをしてしまうんだと思う。これまで大変だった時ほど、あまり記憶に残っていない性分…。何の強みもなくアナウンサー試験を突破しようとした時の記憶もおぼろげだし、そういえば、長男が小さい時の子育ての記憶もほとんどない。 どうにか死に物狂いでやってたんだろうなぁ。なんて幸せな人生なのだ。人には大変ご面倒をおかけしていることまで忘れたらダメですけどね。 でも夫は間違いなく「キタキタキター!」とアドレナリン大放出なんだそうだ。 味方の声をかき消す歓声や野次さえ耳に入らないんだとか。あの球場が揺れるほどの大観衆の中でピッチャーの投げる球に集中できるのは、どんな精神力なのか。
【関連記事】
- 大神いずみ「飛ぶバット」は1本5万円!野球をするにはお金がかかる。男子3人の食費もかかる…大根1本350円の衝撃」
- 28歳で逝った阪神・横田慎太郎 脳腫瘍の手術後に視力を失うも「俺、やっぱり野球やる。この目標からは、絶対に逃げないことにした」
- 『しゃべくり007』に元木大介さんが登場! 大神いずみ「2ステップで寝ていた夫が巨人軍のコーチ業を終え、5年ぶりに家にいる。久々の家族団らんに、スープの味も違って感じる」
- 大神いずみ「野球選手の家族として、怪我と病気が一番怖い。丈夫な体を作る食事を作り、1日でも多く野球のできる体でいてほしい」
- 大神いずみ「高校野球を引退したはずの長男が、国体のメンバーに選ばれた。履正社に入って最初で最後のユニフォーム、最後の一振りは…」