齋藤飛鳥が『【推しの子】』アイ役を「無理だな」「私じゃない」と断った深い理由。2度目のオファーは「腑に落ちた」
人気マンガ「【推しの子】」の実写化で「完璧で究極のアイドル・アイ」を演じた齋藤飛鳥。自身も乃木坂46のセンターとして人気を博し、アイが目指した「東京ドームの舞台」でアイドルを卒業した。 【画像】目が離せない……齋藤飛鳥の撮り下ろし写真を見る アイのキャスト発表時には各所からさまざまな反応があったが、齋藤自身「私には無理」として一度オファーを断っていた。なぜ断ったのか? そして、アイを演じることで見えてきた「推しと愛」について話を聞いた。(聞き手:嘉島唯)
「どこをとっても私じゃないと思う」
――アイのオファーは断ったそうですね。なぜ辞退されたのでしょうか? オファーをいただくまで、「【推しの子】」には触れてはきていなかったんです。それでも「アイ」のことは、瞳の真ん中に星のある「完璧で究極のアイドル」という程度には知っていたので、「なぜ私にオファーが?」と戸惑いました。 何もしないでお断りするのもよくないので、アニメの1話をまず観てみたら、無理だなと(笑)。その後も、原作を読んだり、自分なりに調べたりしてみたものの、知っていくほどにアイは特別なアイドルであることがわかった。 自分もアイドルをやっていたからこそ違いがわかってしまうというか……不安を越えて「私じゃない、もっといい人がいるのではないか」と思ってしまいました。強く。なので「すみません、私には難しいです」と連絡をいれてもらいました。 ――東京ドームにも立って、国民的アイドルグループのセンターも務めた実績もある。それでも「私じゃない」? 「完璧で究極なアイドル」という字を見たら、みなさん「完璧で究極」を各々考えると思うんですよね。 いつもニコニコ、キラキラしてて、誰に対してもその人が喜ぶような発言をしたり、表情をしたりする。それこそがアイドルの究極的な姿だと思うし、星野アイにはその期待に応える天才的なスキルがある。でも、私はそういうキャラクターではないので……。 お話をいただいたタイミングが卒業公演を控えた時期だったことも自分の中では懸念材料の一つでした。アイ役を引き受けるのは「お芝居であったとしても、もう一度アイドルをやる」ということ。ファンの方はどう思うのかも気になっていました。 ――それでもオファーを引き受けたのはなぜでしょう? 周りの人に相談しても「やった方がいい」と「やめた方が良い」の半分半分だったので、自分で決めるしかなかった。再度オファーをいただいた時に、井元隆佑プロデューサーには「どこをとっても私じゃないと思う」という話をしたんです。 その時に「ひとりの人間としてのアイの心の動きや暗い一面もしっかり描きたい」と企画の趣旨を説明していただいて……腑に落ちたというか。やってみようかなと思いました。