ラーメン官僚が太鼓判を押す、栃木県の本当に美味しいラーメン【2】
宇都宮でもトップクラスの人気店『らあめん厨房 どる屋』
冒頭で申し上げたとおり、宇都宮は、「各店舗が提供するラーメンのジャンルが多種多様」という特徴がある。 「県外のラーメン好きが栃木県で最初に訪問すべき店」として名前が必ず挙がる『花の季』、箸が立つほどスープが濃厚なつけ麺が若者を中心に強い支持を得ている『村岡屋』、神奈川県の淡麗ラーメンの名店『支那そばや』にルーツを有する『心麺』、創作色の強いハイレベルな1杯を安定的に提供する『麺藏藏』など、上位人気店の顔ぶれを見ても、各々が繰り出す1杯の味わいは千差万別だ。 また、宇都宮市は北関東最大の都市で、人口に比例するかのようにラーメン店の数も多い。当然のことながら、店舗間の生存競争も熾烈を極める。他のエリアであれば十分営業していけるだけの実力があっても、営業場所に宇都宮を選んだばかりに、他店に競り負け閉店の憂き目に遭う店舗も少なくない。 そんな宇都宮において、1996年の開業以来、一度も脱落することなくトップクラスの人気店として君臨し続けるのが『らあめん厨房 どる屋』である。同店を切り盛りする落合店主は、独学で『どる屋』を開業し、その腕一本で同店をスターダムにまで押し上げたスゴ腕だ。
イチ押しは「黄金の鯛塩バターらーめん」。「鯛らーめん」シリーズは、以前から「限定商品」として提供されていたが、2022年、晴れてレギュラー商品へと昇格。「黄金の鯛塩バターらーめん」も、そのバリエーションのひとつ。「ラーメンに西洋料理のエッセンスを採り入れたい」と、かつて辻調理師専門学校の門を叩いた店主が、試行錯誤を経てたどり着いた研鑽のたまものだ。 鳥取県境港で獲れた天然の鯛を一夜干しし、素材が有する等身大のうま味だけをクローズアップ。熱気球のようにふんわり膨らみ、軽やかに宙を舞う鯛の芳香は、その匂いを嗅いだだけで忘我の境地へと陥ってしまうほど魅惑的。 フランスのエシレ村で造られる発酵バターがスープへと溶け出すにつれて、スープのコクとうま味が右肩上がりに増幅していく点も、ドラマティックだ。鯛のクセや生臭さを、ここまで綺麗に取り除くことに成功した“鮮魚ラーメン”は珍しい。 「百聞は一食に如かず」。未訪の方はぜひ一度足を運んでみてもらいたい。