「一度野球を諦めた」潜在能力社会人トップ153キロ齋藤に11球団調査書
一度は野球を諦めかけていた遅咲きの153キロ右腕がドラフトの有力候補となっている。「潜在能力は社会人No. 1」と、日米のスカウトが絶賛するのが、Hondaの齋藤友貴哉(23)だ。11球団から調査書が届いた。160キロを狙う彼もまた「大谷世代」である。 184センチ91キロ。長い手足がマウンド映えする。 メジャーリーガーの“マエケン“よろしく「小学時代に水泳を習っていたからか、肩甲骨の可動域が広い」と、自負するように、身体に巻きつくほどしなやかな腕の振りから繰り出す、高めにホップする伸びのあるストレートは最速153キロをマークした。そのストレートは、ナチュラルにカット気味に動き、打者をてこずらせる。縦横2種類のスライダーと、スプリットもある。 「将来的には、160キロを叩き出すような大谷レベルになれるポテンシャルがある」 太鼓判を押すのは、Hondaの筑川利希也投手コーチだ。東海大相模出身の元センバツ優勝投手であり、Hondaでは橋戸賞を獲得したアマエリートが絶賛する。 ドラフトを前に全12球団だけでなく、フィリーズをはじめ複数のメジャー球団が視察に訪れるほどの逸材なのだ。 だが、齋藤は、「野球は、高校で一旦諦めていた」という。 日大山形や東海大山形など県内の強豪私立から勧誘されたにもかかわらず、「県立高で甲子園に行きたいとの憧れもあって」山形中央高に入学。 1年夏には県大会で早くもベンチ入り。当時181センチと既に長身だったことから、地元紙に秘密兵器として取り上げられたこともあった。 しかし、その後は、膝の成長痛の影響で思うような練習ができず、公式戦登板はわずか数試合で、出場した甲子園でもベンチ外。秘密兵器に出番はなかった。 禍福は糾える縄の如し。齋藤は、桐蔭横浜大に進むことになるが、3年春頃に、こんな縁があった。関東に遠征した際に桐蔭学園との練習試合で先発完投。その姿が、「グラウンドを共有している関係でたまたま見学していた」という系列の桐蔭横浜大の齊藤博久監督の目に留まったのである。