そもそもワインってどんなお酒?フィガロワインクラブがお届けする、ワイン初心者のための特別講義!
品種×産地で、味わいがわかるようになる!?
ブドウの栽培環境、つまり産地によっても風味は変化する。それは、ブドウが育つ気候条件や土壌、斜面の向き、風の通り具合といった環境が異なるためだ。 たとえば同じブドウ品種でも、フランスのブルゴーニュ地方とカリフォルニアのナパ・ヴァレーで栽培したものでは、ワインの風味に明確な違いが生まれる。こうした自然条件のことをフランス語でテロワールと呼ぶ。ブドウ品種による違いを縦軸、 産地≒テロワールを横軸としたマトリックスから、自分好みのワインのスタイルを把握していこう。
テイスティングの作法
「基本のキ」で使用するのは「テイスティンググラス」と呼ばれる、ワインの香りや味わいの特徴をフラットに伝えるワイングラス。グラスを手に取ったら、まずはグラスを少し傾けて、ワインの色を確かめよう。 赤ワインも白ワインも、色が濃ければブドウが成熟し、しっかりとした味わいを感じやすく、温暖な産地で造られている可能性がある。逆に色が淡ければブドウは成熟度が低く、繊細な味わいが想像でき、冷涼な地域で作られた可能性がある。また、ワイングラスに沿った外周部分の色もチェックしよう。縁が青みがかって(赤ワインなら紫、白ワインなら緑)いれば、ワインが若い可能性が高く、経年とともに縁に明るさが見えるようになり、ヴィンテージワインともなればレンガやコハクのような褐色に変化していく。ただし、飲んでみると見た目から想像した味わいとは全く別の個性や特徴が感じられることも! それもまたワインの楽しみだ。 飲むまでにはもう少し我慢! 今度はグラスを鼻に近づけて香りを嗅いでみよう。
グレープフルーツやバラ、ライチなどのブドウ品種由来の香り、バニラやコーヒー、スパイスやチョコレートといった樽からのニュアンスがわかるかもしれない。最初の香りの印象を確かめたら、次に手首を軸にグラスを回し(これをスワリングと呼ぶ)、ワインを少し空気に触れさせて香りの変化を感じよう。ワインの奥に閉じ込められていた特徴が立ち上ってくるはずだ。慣れないうちは、グラスの底をテーブルの上に置いたまま、右利きであれば反時計回り、左利きであれば時計回りに揺するように回せば、こぼしても隣の人の衣服を汚す確率はグッと低くなる。 さてお待ちかね、ワインを口に含んで味わいを確認しよう! この時、あまり大量にワインを口に入れすぎると、風味が分かりづらくなってしまう。最大限にワインを楽しむためには、少しづつワインを口に運び、舌の上を液体が流れる感触を楽しもう。舌全体に液体を渡らせるイメージでワインを飲むことで、甘さ、酸っぱさ、苦さを感じやすくなる。味わいも香りと同様、果物や植物、スパイスなどの、何に似ているかの印象を想像しながら考えていこう。これは、飲んでいるワインがどんな料理に合うかという「ペアリング」の基本となる。 また、飲み込んだ後にワインの風味が続くことを余韻と呼び、これが長いほど上質なワインとみなされている。 赤ワインやオレンジワインの場合、舌の上や頰の内側が収斂するようながざらつくような感触を覚えることがある。これがブドウに含まれるタンニンという渋みの成分だ。これもサラサラと流れるように感じるものから、液体に溶け込んだように緻密に感じるもの、ザラザラとして口が重たくなったかのように感じるものまでさまざまだ。また、ワインを飲んだ後に口の中が乾いたようにキュッと引き締まるような感覚を覚えることも。これはワインに含まれるミネラルが引き起こしている可能性がある。こちらは貝殻や石灰、火打ち石などの鉱物でそのニュアンスを例える。これらの作用を利用して、たとえば脂の多い肉料理にはタンニンの多い赤ワインを合わせて口の中をさっぱりと洗い流す、またクリーミーな牡蠣にはミネラル感のある引き締まったワインを合わせてその旨みを倍増させる、といったように料理の楽しみの幅を広げてくれるのが、ワインと料理のペアリングの醍醐味だ。 ワインを口に含んだ状態で鼻から呼吸をすると、先ほど嗅いだだけでは分かりづらかった香りが取れることも! これは鼻と口が繋がっていることによってよりダイレクトに香りがわかるから。そして実は、アルコール度数の高低も味わいを左右する大事な要因。果実味、渋み、香り、そしてアルコール度数の高いワインを「フルボディ」のワインと呼び、中間くらいのものが「ミディアムボディ」、爽やかさで軽やかな特徴をもつものを「ライトボディ」と呼ぶが、これらは厳密な定義があるわけではない。