生活保護を受ける高齢者世帯は増加傾向?60歳代・単身世帯「貯蓄ゼロ」の割合を見る
自助努力での資産形成にはどのようなものがある?
それでは、老後に向けた資産をつくるためには、どのような対策をすれば良いのでしょうか。次に、個人単位の取り組みと政府が行う支援策の参考例を挙げていきます。 ●個人で行う取り組み 老後の生活で困窮しないためには、現役世代のうちから老後の生活を見据えて資産形成をすることが重要です。 現役世代からの資産形成 具体的には、下記のような手段が考えられます。 ・計画的な貯蓄 ・資産運用の知識習得や実践 ・iDeCoやNISAなどの制度活用 継続した就労 定年を迎えて仕事を完全に辞めるのではなく、正社員ではなくても何かしらの収入を得ることで、老後の生活資金の不足をカバーすることができます。 現役のうちから副業などにより自身のスキルアップを図ることで、定年後の収入を獲得するための手段に繋げられる可能性もあります。 生活費の見直し 現役世代に収入が多かった世帯ほど、生活費も多く掛かっていることも多く、年金収入で生活する際に収支のバランスが取れずに赤字になることが考えられます。 老後の生活においては、現役のときと全く同じ生活をするのではなく、不要な支出を削って生活費を抑える意識を持つことも重要です。 ●行政の取り組み 生活保護制度では、被保護者に対する保護費の支給とあわせて、被保護者が経済的・社会的に自立ができるような自立支援のシステムを作成しています。 生活保護の窓口となるケースワーカーは、各種専門機関と連携をとって、被保護者に向けて就労支援などの自立のための支援を実施しています。
まとめにかえて
高齢者世帯の生活保護の割合増加は、高齢化の進む日本にとって国全体で改善に取り組むべき課題でもあります。 しかし、個人単位でも将来を見据えて早い段階から資産形成や老後の生活設計をすることで、生活保護の受給者となるリスクを回避することができます。 計画的なライフプランを立てて老後の資産を確保することで、生活保護を回避して充実した老後生活の準備をすることができます。もし生活保護世帯となった場合にも、政府の自立支援制度を利用するなどにより、被保護世帯からの脱却を目指すことが可能です。 個人も国も一丸となって全ての人の経済的・社会的に自立を目指し、日本全体をみんなが暮らしやすい環境に整えていきましょう。
参考資料
・厚生労働省「生活保護制度」 ・日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」 ・社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会(第16回)「生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について」 ・厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和6年8月分概数)の結果を公表します 」 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
斎藤 彩菜