「何様?」超高級シニアマンション理事会がコロナ禍で独自ルール強要、新規入居可否に口出しも…その強すぎる“使命感”「管理会社におんぶに抱っこじゃ始まらない」
理事会が新規購入者に突き付ける“条件”
徳川さんが続ける。 「ここでは、部屋の購入時は健康であることが条件になっています。ですから去年、上限の目途を80歳とか85歳くらいにしようという話が出て、85歳までとしました。まあ、元気そうだったらいいんだけど、85歳でここへ来て、10年経ったら95歳でしょ。うーん、やっぱり役に立ってもらわないといけない。こういう組織なんだから、理事やったりしてもらわないと。家内もメンバー会の会長をこの前までやっていましたし」 85歳で入居し、数年後には役員になるのが逆に可哀そうだと徳川さんは言った。施設に役立って、みんなで支え合わないといけないと強調しながら、こう続けた。 「役員をできない方は、協力金(を支払ってもらうこと)も考えなきゃいかんかなと。それはまだ導入はしてないですよ」 理事会の力が絶大だというエピソードは他にもある。 「今、我々でやっているのは、購入希望者との面談。面談というか説明ですね。こういう館(やかた)なんですよ、と。何か聞きたいことありますか、合わなければ(購入を)やめてください。合うんなら、どうぞということをやってます」 徳川さんの話によれば、購入希望者はまず、運営会社側の施設責任者と面談を行うという。入館時は「健常者が条件で、杖をつく人も基本的にはダメ」だと話す。さらに螺旋(らせん)階段を昇降する“運動テスト”まで実施しているという。 また、面談では人となりを見たりしながら、「外観評価表」なるものを記入する。 それが終わると次に、徳川さんら理事会メンバー2名との面談があり、その面談結果は先の「外観評価表」に反映されるというのだ。 そうした面談結果を受けて入居を断るケースもあるのだろうか。再び徳川さんに聞いた。 「ええ、あります。我々に断る権利まではないんですけど、『あの方はちょっとまずいんじゃないの』と。見てくれとか、そんなんじゃないですよ。やっぱり物腰や態度。ちょっと特殊かもしれませんね。面談のときには『入ったら管理組合かメンバー会の役員をやってもらいますよ』とお願いします。そのときはみんないい顔をして『はいはい』って言うんですけど、逃げ回りますよね」 入居後、理事会やメンバー会の役員をやりたくない人も多いという。そうした新規購入者が最近は増えたそうだ。 「結構ね、私せっかちだから、週に3回くらい理事を集めるんですよね。自分も大変なんだけど、理事さん方も大変ですよ」 そう徳川さんが言うと、徳川さんの妻がこう続けた。 「ボケ防止というか頭の回転というか、何にもしないでサークル活動をしているだけというよりは、生き生きと暮らせるというのはあるかもしれませんね、皆さんの役に立つという意味でもね」 文/甚野博則 写真/PhotoAC