「元カノとの不倫。罪悪感はあるけれど」レスに悩み続け、欲望と家族への後ろめたさのハザマで決断したこと
昨年末、25年ぶり実施の『性機能障害の全国実態調査に関する報告』が発表されました。年齢別EDの有病率はなんと50歳以上で41.7%。また、性交頻度が1カ月に1回未満(1カ月間に1度も性交がない)を「セックスレス」としたところ、全体の70.4%が該当しました。 【データ】レスの割合は? 年齢別の目的は? つまり、日本は少子高齢化と同時に、恐るべきレス社会に突入していたのです。これは人口問題そのものであり、我々は少子化どころか無子化社会を生きていると言えます。 これらの社会課題を男性側の視点で捉え、執筆を続けるライター・山下あつおみ氏が、レスを抱えた夫婦問題についてレポートします。 【無子社会を考える#14】前編
レスに悩み続ける日常
「実はきっかけがないままレスになったことが当時の悩みでした」 今回、このように語ってくれたのは佐々木さん(37歳/エンジニア)です。 佐々木さんが結婚したのは今から8年前のこと。家族は同い年の妻(公務員)と娘(6歳)の3人家族。今も家族の仲は良いといいますが、結婚5年目から奥様とのレスに悩むようになったそうです。 「性交渉をしていないと気づいたときには数ヶ月が経過していました」 これというキッカケがあったわけではなく、自覚した時にはレスになっていたいう佐々木さん。なぜ奥様アプローチをしなかったのか、その理由をお伺いしました。 「妻が仕事で疲れているときに行為をしようとアプローチをするのは、逆に負担になるのではないかと思ったんです。そうしてる間に月日だけが流れてしまって、どうやって妻と夜の営みをしていたのか分からなくなったんです」 佐々木さんは仕事も家庭も順調で、妻とも仲が良好なままレスに突入してしまったそうです。ある夜、夫婦で映画を自宅で見ているとき、映画のロマンチックなシーンを見ながら、佐々木さんは自分たちの関係をふと思い返していたそうです。 「こんなふうに触れ合うことが、もう何年もないことをようやく自覚して、とても動揺しました」 しかし、この時も佐々木さんは奥さまに触れたいという気持ちを口に出すことは出来なかったそうです。 「言い訳ですが、元々、口下手な方で感情表現が下手なタイプなんです。あと妻に拒絶されることが怖くて、結局、何も言えないまま孤独感とフラストレーションが日々増していきました」 佐々木さんは心苦しそうに胸の内を明かしてくれました。このようにレスの原因は一つではありません。仕事のストレス、育児の疲れ、コミュニケーション不足などが重なり、セックスレスになるケースが多いのです。 また佐々木さんは妻との関係が冷え込んでいくのを感じながら、具体的な解決策を見つけられずにいました。次第に佐々木さんの心には、日々の小さなや孤独感が積み重なっていったのです。レスは珍しい問題ではありませんが、それが原因で家庭内の不和や不倫へつながることが多いのです。話を聞いていくと、佐々木さんも例外ではありませんでした。 「実はこれまで誰にも話していなかったんですが、一時期、不倫をしていました。正直、今も罪悪感はありますが、それによって状況が変わるきっかけにもなったのも事実なんです」