9月FOMCのMinutes-Better alignment
はじめに
50bpの利下げを決定した9月のFOMCでは、労働市場が堅調さを維持しつつ、インフレ目標への収斂に確信が共有された。もっとも、25bpの利下げを支持する考えも相応に示された。
物価情勢の評価
FOMCメンバーは、インフレ率が依然として高い点を確認しつつ、ほとんど全員(almost all)のメンバーが足元の指標はインフレ目標への収斂と整合的と評価した。 内容面では、数名(some)のメンバーが、インフレ減速にはエネルギーと食品の寄与が大きいが、広範な財やサービスのインフレが減速していると指摘し、コア財と住居を除くコアサービスの減速を強調した。また、多く(many)のメンバーは、インフレ減速が、価格設定力の低下を示唆する企業からの情報と整合的としたほか、第1四半期のインフレ上昇が一時的との見方を示した。 今後については、ほとんど全員(almost all)のメンバーが、2%インフレに向けた持続的な動きに自信を深め、理由として、実質GDP成長率の軟化、インフレ期待の安定、価格設定力の低下、生産性の向上、国際商品価格の軟化等を挙げた。 また、数名(several)のメンバーが賃金上昇の減速を指摘し、景気敏感なセクターや転職者の動向に言及したほか、2名(a couple of)のメンバーは、賃金上昇の減速がサービスのインフレ減速に貢献していると指摘した。さらに、数名(several)のメンバーは、労働需給が概ね均衡しているため、近い将来に賃金上昇がインフレ圧力となる可能性は低いとの見方を示した。
経済情勢の評価
FOMCメンバーは、雇用増ペースの減速、失業率の上昇、未充足求人の減少、離職率の低下等に言及し、労働市場の状況がコロナ前よりタイトでないと評価した。 もっとも、労働市場は引続き強く、企業はlayoffでなく労働時間の抑制等で対応していると指摘した。また、多く(many)のメンバーが移民の増加や雇用統計の改訂、生産性の上昇等のため状況が把握しがたい点を挙げ、ミクロデータや企業からの情報を活用すべきとした。 今後については、インフレ目標の達成に労働市場の更なる減速は不要とした上で、SEPも労働市場の強さが維持されるとの見方を示唆している点に言及した。この間、数名(some)のメンバーは、労働市場の一層の悪化のリスクを指摘した。 一方、経済活動は力強く推移し、個人消費が底堅いと評価した。個人消費については、2名(a couple of)のメンバーが実質購買力の上昇を指摘した一方、数名(some)のメンバーはカードローンや自動車ローンの延滞率上昇など金融ストレスの上昇を指摘した。 企業に関しては、多様な(various)のメンバーが、先行きは楽観的ながら雇用や投資に慎重と指摘した。また、生産性の向上や新技術の活用など供給面の改善を指摘する向きがあった。これらを踏まえ、多く(many)のメンバーは、今後数年の実質GDP成長率はトレンド(筆者注:潜在視聴率を意味するとみられる)の近傍で推移するとの見方を示した。