日本航空石川、2回戦へ 花園から震災被害の故郷に雄姿 震度7でグラウンドに亀裂…4月から東京で合宿生活
第104回全国高校ラグビー1回戦(27日、日本航空石川73-8鹿児島実、花園Ⅰ)困難を乗り越えて強くなった。能登半島地震で甚大な被害を受けた日本航空石川が初戦突破。石川・白山市出身のCTB上野魁心主将(3年)が部員の思いを代弁した。 「石川で被災した人や、やりたいことができない人たちの分まで戦おうと話していた。そういう試合を表現することができてよかった」 前半2分に1年生のCTBマティプ・ウィリアムが先制トライを決めた。鹿児島実のFW平均体重77・9キロに対し、日本航空石川は96・6キロ。強力なFWを軸に猛攻を続け、計11トライを奪って圧倒した。 同校は最大震度7を観測した石川・輪島市にある。ラグビー部のグラウンドには亀裂が入り、余震が続く中でチーム活動は休止となった。各自で自主練習する日々が1カ月間も続いたが、LINEグループで練習した内容を部員同士で報告して励まし合った。 2月に岐阜県にある中部大の施設でチーム練習を再開。以降は大学や系列校の力を借りて拠点を埼玉、山梨に移して練習を継続した。4月からは東京・青梅市で明星大が使用しなくなった校舎で学校生活を送っている。上野主将は「大変だったが、チームの団結力は例年以上に上がった」と振り返る。 2回戦で激突する国学院久我山(東京第2)は、3週間前の練習試合で惜敗した相手。「セットプレーから抜かれることが多かった。組織的なディフェンスをしたい」と気を引き締めた。 日本航空石川には大きな目標がある。「花園で1月1日を迎えたい」と上野。3回戦が行われるのは震災発生からちょうど1年の元日だ。次戦も勝って、花園から故郷に雄姿を届ける。(鈴木和希)