【2025年に注目】カスハラや教育格差…課題解決へ「熱量が高い」起業家10人は
日本社会が抱える課題は多いが、その解決に挑む起業家たちがいる。中でも熱量が高い10人について、寺島戦略社会保険労務士事務所代表の寺島有紀さんが解説する。AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号より。 寺島戦略社会保険労務士事務所代表の寺島有紀さんが選ぶ2025年注目の10人はこちら * * * 人口減少や高齢化に直面している日本には、さまざまな社会課題が山積しています。変化が激しく、課題だらけの社会というと戸惑う人も多いかもしれません。しかし、起業家にとってはビジネスチャンスにあふれた時代ともいえます。 今の時代に求められるキーワードは「共感」です。単に「儲かるビジネス」を志向するのではなく、シングルイシューに絞って社会課題の解決に挑むことで、いかに共感を集められるか。成長を遂げるベンチャー経営者に共通するのは課題と向き合う熱量の高さです。そんな注目の起業家を紹介します。 離職者防止の観点からも喫緊の課題とされるカスタマーハラスメント(カスハラ)。「シンカ」が提供するコミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」は有効なカスハラ対策ツールとして多くの企業に重宝されています。AIが瞬時に通話内容を分析し、顧客情報や通話履歴、会話保存など電話対応の負担を軽減する機能のアップデートが進んでいます。江尻高宏代表取締役は「ITで世界をもっとおもしろく」を経営理念に掲げる、クラウド商品の開発に定評のある経営者です。 教育格差の課題と向き合うのが「Kids Code Club」。家庭の事情でテクノロジーを学ぶ機会が得られない子どもたちに、無料でプログラミング教育を提供している一般社団法人です。石川麻衣子代表理事自身、家庭環境に悩みを抱え、経済的な問題から大学を中退したものの、ITスキルを磨くことで逆境をはねのけ、ウェブ制作会社を起業するに至った経歴の持ち主です。「本来平等であるはずの子どもたちの可能性を、生まれた場所に関わらず伸ばしたい」という理念に共感が広がっています。 ファッションブランド「SOEJU(ソージュ)」を展開する「モデラート」も、市原明日香代表取締役の経験と「世の中をもっと良くしたい」という思いが事業に反映されています。東京大学を卒業し、アクセンチュアからルイ・ヴィトン、バイオサイエンス系のスタートアップへ、と華麗な経歴をもつ市原さんが、働き盛りの30代の時に長男の白血病が発覚し、7年間のブランクを経て創業したのが同社です。自身が社会復帰する時に服装に戸惑った経験をベースに、流行や年齢に左右されないベースウェアの提案は大人女性の絶大な支持を集めており、私もファンの一人です。創業から商品の廃棄率0.1%未満を達成するなどサスティナブルの観点からも素晴らしい実績を築いている企業です。