軍用機領空侵犯“番外編”…「歴史問題」で反撃に出る中国
衝突に対し、フィリピン駐在の日本大使、遠藤和也大使がSNSにこのような投稿をした。 『日本は、力や威圧による、いかなる一方的な現状変更の試みにも反対します。日本は、フィリピンと共に立ち、海洋における法の支配を支持します。』 南シナ海に関する中国の主権・主張は国連海洋法条約の規定に基づいていない、という内容だ。同じ内容は外務省本省も表明している。日本はアメリカ、それにフィリピンなどとともに、安全保障上の連携を強めている。いずれも、中国の海洋進出を念頭に置いたものだ。 中国は、これに反応した。同じフィリピンに駐在する中国の大使が遠藤大使のコメントを「無責任な発言」、また「南シナ海でことが起きると、日本大使はいつもすぐに目立つ発言をし、真実を無視し、中国に対して根拠のない非難をする」と反論している。そして、ここでも歴史問題を取り上げた。 『日本大使は、第二次大戦中、日本がフィリピンを侵略し、マニラを破壊し、10万人以上の民間人を殺害したマニラ大虐殺も忘れているのだろうか』 『「バターン 死の行進」、そして、サンティアゴ要塞の地下室において、日本兵の軍刀の下で、悲劇的な死を遂げた何万もの人々の、浮かばれぬ魂を忘れたのか』 「バターン 死の行進」が起きたのは1942年。フィリピン・ルソン島のバターン半島を占領した日本軍は、疲弊したアメリカ人、フィリピン人の捕虜を徒歩で長距離、移動させた。途中、日本兵による捕虜への暴行もあった。このため多数の死傷者が出た=死の行進=ことを指す。 サンティアゴ要塞は、今もマニラ中心部に残る観光名所だ。かつて日本軍が司令部を置いた。数百人の市民をスパイなどの疑いで投獄し拷問を加え、処刑などで多くが亡くなった。 「日本はかつてフィリピンで残虐行為を繰り返した。そのフィリピンのことに口出しするな」――。歴史問題においては、中国国内だけではなく、東南アジアの国も、同じ日本の被害者だ、ということなのだろう。