軍用機領空侵犯“番外編”…「歴史問題」で反撃に出る中国
化学兵器の開発・生産・貯蔵・使用を禁止する取り決めに化学兵器禁止条約がある。この条約によって、日本政府は旧日本軍が中国に遺した化学兵器を廃棄する義務がある。日本は中国国内に施設を造って処理作業を進めるが、かなりの年数がかかる。会見で質問した記者が言った「731部隊の行為に関連する作業」とは、この毒ガスの処理作業を指す。 中国大陸に捨てられた、毒ガス兵器は40万発分以上残っているとされ、戦後も住民に被害が出ている。これは現実に起きている事実ではある。中国メディアの質問に、国防省のスポークスマンはこうも述べている。 『日本が遺棄した化学兵器は、日本軍国主義が中国侵略によって、引き起こされた重大な歴史的懸案であり、現実的な問題です。第2次大戦中、中国を侵略した日本軍は、中国人民に対し凶悪な細菌戦を仕掛けました。おびただしい数の軍人・民間人を死傷させ、人道に反する重大な罪を犯しました』 『遺棄化学兵器の撤去は、日本が避けることのできない歴史的、政治的、法的責任です。日本側は過去の歴史に正面から向き合い、心から謝罪し、国際条約や二国間覚書に基づく義務を真摯に果たさなくてはなりません』 『日本は、遺棄化学兵器の処理プロセスを加速させるため、あらゆる努力をすること。そして汚染のないきれいな土地を、一日も早く中国人民に返すことを求めます』 元731部隊の隊員だった日本人の資料館訪問も実際にあったこと。ただし、それに合わせ、日本の過去の責任を追及した。だが、中国軍機の領空侵犯が起きた直後に、この遺棄化学兵器問題を持ち出すと、領空侵犯との関連を考えてしまう。 ■反論に歴史問題を持ち出す中国大使 同じようなケースがもう一つある。こちらは、フィリピンが舞台だ。南シナ海でフィリピンの巡視船と中国の海洋警察局の船による衝突が、繰り返し起きている。ここはフィリピンのEEZ(=排他的経済水域)だが、中国も領有権を主張し、緊張が高まっている。