F1界の闇 なぜ可夢偉の無給問題が起きたのか?
先ごろ、ヨーロッパの「crash.net」というWebサイトが発表した「2014年F1ドライバー年俸」によれば、F1界のトップ5は以下の通りである。
1位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)→220万ユーロ(約30億円) 1位 キミ・ライコネン(フェラーリ)→220万ユーロ(約30億円) 1位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル)→220万ユーロ(約30億円) 4位 ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)→200万ユーロ(約27億円) 5位 ジェンソン・バトン(マクラーレン)→160万ユーロ(約21億円) 1位のアロンソは2005年と2006年の王者で、現役最強ドライバーとの評価を受けている選手。昨年に続いてのトップ。そのほかの4人も皆、チャンピオン経験者だ。 しかし、F1ドライバーが皆、高額の年俸を受け取っているわけではない。年俸が1億円に満たないドライバーが6人も数えられている。そして、その中のひとりに小林可夢偉がいる。crash.netによれば、可夢偉の年俸は15万ユーロ(約2000万円)。しかし、これは世界中を転戦するのに費やされる移動費であり、可夢偉の懐に入るわけではなく、事実上、無給に等しい。 モータースポーツの最高峰であるF1に登りつめたにもかかわらず、なぜ、このような待遇を可夢偉が受けているのか。そこには、現在のF1界が抱える根深い問題がある。 通常、個人スポーツの選手は、出場した試合で得られる賞金が収入となるが、団体スポーツはチームとの契約金が選手の収入となる。モータースポーツもドライバーはチームに所属しているので、チームとの契約によって年俸が決まる。F1といえば、マシンにカラフルなステッカーが貼られているが、それらスポンサーからの広告費はすべてチームが手にするため、ドライバーに直接入ることはない。 それでも、タバコ・マネーがモータースポーツ界を潤してくれていた80年代から90年代であれば、チームが多額の収入を得て、ドライバーも億単位のギャラを手にすることが難しくなかった。