ICCの赤根所長「干渉に屈しない」 イスラエル首相らの逮捕状めぐる「脅迫」でも
【AFP=時事】国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の赤根智子所長は2日、パレスチナ自治区ガザ地区での紛争に関してイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らに逮捕状を発行した後、ICCは「脅迫」や「圧力」を受けているとする一方で、「外部の干渉には屈しない」と強調した。 【写真】ネタニヤフ氏、ICC逮捕状に反発「現代のドレフュス事件」 ICCは先月、昨年10月7日のイスラム組織ハマスの越境攻撃とその後のガザでのイスラエル軍の軍事作戦に関して、ネタニヤフ首相とイスラエル前国防相、ハマス軍事部門トップの3人が戦争犯罪および人道に対する罪を犯した「合理的な根拠がある」として、逮捕状を出した。 ネタニヤフ氏はこの決定を反ユダヤ的だとし、ジョー・バイデン米大統領は「非常識だ」と非難した。 赤根所長はハーグで開かれた、ICC設立を定めたローマ規程の締約国会議で演説し、ICCは「強制措置、脅迫、圧力、妨害行為」に直面していると指摘。「われわれは歴史の転換点に立っている。国際法と国際正義が脅かされている。人類の未来も脅かされている」と訴えた。 その上で、「ICCはいかなる外部からの干渉にも屈することなく、独立かつ公正に、合法的な任務を遂行し続ける」と表明した。 ICCは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の逮捕状も出しており、これに対しロシアはICCの裁判官を指名手配するなど対抗措置を打ち出した。 また、一部の米共和党議員は、ICCに対する制裁措置の導入を上院に要請している。ICC加盟国は124か国だが、米国、イスラエル、ロシアは加盟していない。 こうした状況を踏まえ、赤根所長は「選出された一部の(ICC)当局者が重大な脅迫を受けており、ある国連安保理常任理事国から指名手配されている」と指摘。「別の常任理事国の組織は、ICCがあたかもテロ組織であるかのように、経済制裁をちらつかせている」と語った。 その上で、ICCが国際法に基づいて逮捕状を出すと、「スキャンダルだ」と受け止める国が出てくるのは「驚くべきことだ」と主張。「仮にICCがつぶれれば、すべての『事態と事件』(捜査・訴追案件)が失われるのは不可避だ。ICCは存在にかかわる危機に直面している」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News