イーロン・マスクが秘密裏に進めた「世界最大のスパコン施設」、建設の裏側
イーロン・マスクが代表を務める人工知能(AI)開発のxAI(エックスエーアイ)は、6月にテネシー州メンフィスに 世界最大のスーパーコンピュータである「Gigafactory of Compute(ギガファクトリー・オブ・コンピュート)」を設置すると発表し、マスクはその翌月に、この施設が稼働を開始したとX(旧ツイッター)に投稿した。彼は、この施設が「世界最強のAIをトレーニングする上で大きな利点になる」と述べている。 メンフィスの商工会議所は、ギガファクトリー・オブ・コンピュートの開設を歓迎しているが、現地の環境保護団体や住民は、この施設が環境に及ぼす影響を懸念している。 フォーブスは、マスクのチームが、この施設の建設計画が公になる数カ月も前から、地元の警察や連邦捜査局(FBI)を含む機関と極秘の会合を開いていたことを突き止めた。この会合は、3月からグレーターメンフィス商工会議所の主導で開かれていた。 「私は、このプロジェクトに対するみなさまの時間とコミットメントに心から感謝している。メンフィスにとってすばらしい瞬間が訪れようとしている」と商工会議所の経済開発責任者のグウィン・フィッシャーはグループへのメールで述べた。彼女は、マスクの新施設のツアーを彼らに提供したが、その条件として、マスクのフィクサーで銀行家のジャレッド・バーチャルが管理する謎のペーパーカンパニーのCTCプロパティと秘密保持契約(NDA)を結ぶことを要求した。 元金融アナリストのバーチャルは、約10年間にわたりマスクの右腕を務めている。彼はメリルリンチを不適切な行為で解雇された後に、マスクの財務アドバイザーになったとロイターは報じている。それ以来、彼はスペースXやニューラリンク、ザ・ボーリング・カンパニー、xAIなどの幹部に名を連ね、マスクのファミリーオフィスと財団を管理している。彼はまた、マスクの個人の警備体制も統括している。 フォーブスは、メンフィスの政府関係者がxAIとNDAを結んだことを最初に報じ、その後、情報公開請求を通じて契約書やその他の内部文書を入手した。「市民に対する責任を最優先すべき政府機関が、xAIの秘密保持に同意したことは非倫理的だ」と、環境保護団体シエラクラブのテネシー支部の責任者のスコット・バンベリーは指摘した。