認知症の家族から「私の物を盗ったでしょ!」と疑われるのは<信頼されている証>?解決策は「不安な気持ちに寄り添ってなくし物を一緒に探すこと」
◆いざ見つかったら「良かったね!」と ソファの後ろや仏壇の中など、意外な場所に隠してしまうこともありますが、そこであなたが見つけてしまうと、「ほら、やっぱり。あなたが盗って隠したんでしょ!」と逆効果になりかねません。 「お母さん、ちょっとこのあたりを探してみて」などと上手に誘導して、本人が見つける流れを演出してあげるのがベストです。 探しながら、探し物を見つけたあとの話や、昔の思い出話をしたり、しばらく探してから、お茶やおやつに誘ったりして、注意を別のものに向けるのもいいですね。そうするうちになくし物のことを忘れてしまい、落ち着くこともあります。 そして、いざ見つかったら、「良かったね!」と一緒に喜びましょう。 考えてみれば、これは、子どもの頃に大切なおもちゃをなくして、お母さんに一緒に探してもらっていたシチュエーションを逆転させたようなものです。 「あら! どうしたの? なくしちゃったの? 大変! じゃあ一緒に探そう」と寄り添って、二人で見つけるストーリーを見せてあげてください。 そういえば、2カ月後にまたオンラインで集まったとき、平井さんの次女さんは「子育てをしているような感覚で、また母と向き合えるようになりました」と言って、じつに穏やかな表情を浮かべていましたっけ。 ※本稿は、『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』(アスコム)の一部を再編集したものです。
川畑智,中川いさみ