サブカル文脈から読み解く2010年代以降のアイドルシーン、BiSとBiSHの快進撃
歌が上手いとかダンスが上手い子たちが集まったスーパーグループではない
Bye-Bye Show / BiSH 田家:BiSHの19枚目、最後のシングル「Bye-Bye Show」。作詞作曲プロデュースがTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉さんで、演奏はTHE YELLOW MONKEY。 西澤:最後にTHE YELLOW MONKEYの楽曲で終わるというのが、BiSの時代から考えるとつながっている。 田家:見事に完結していますね。この「Bye-Bye Show」もシングルチャート1位で、「PAiNT it BLACK」っていう曲も1位でしょう。シングル1位が2曲あって、アルバム1位が2枚ある。 西澤:そう考えると僕が見てきた中でもあまり歴史上ないようなスタイルで、しっかり世の中に突き刺さったグループだったんだなということは思いますよね。 田家:彼らの功績というのはありそうですね。 西澤:言い方は難しいんですけど、もともとすごく歌が上手いとかダンスが上手い子たちが集まったスーパーグループではないんですね。なんですけど、それぞれの個性をかけ合わせ、ライブハウスだったりお店の方だったりお客さんだったりを巻き込んで、ちゃんと世の中に響くものを作った。そういうたくさんの人たちと作り上げたというのが、BiSH、ひいてはBiSというグループが残した功績なのかなと思いますね。 田家:先週のももクロもそうですし、今週のBiSとBiSHもそうなんですけど、所謂アンチアイドル的な、選ばれた人たちがなるアイドルじゃないという流れは来週も再来週もずっと続いている感じですね。 西澤:来週はBiSをさらにもっとコアにしていったところで生まれたグループを紹介したいなと思っています。 田家:最後はどこになりそうですかね。 西澤:それがさらに外に飛び抜けて、世界につながっていくみたいな。 田家:なるほどね。来週も再来週もよろしくお願いします。 静かな伝説 / 竹内まりや 流れているのは竹内まりやさんの「静かな伝説」です。 ゲストにお迎えしているのはこの番組の文字起こし、Rolling Stone Japanでアーカイブをしてくれている西澤裕郎さん。編集とライター、そして本も出したりしている会社、株式会社SWの代表取締役であるのですが、そういうアイドルの出会いだったんだなと。彼個人のこともなかなか興味深く聴きながら、今週はお送りしました。 BiSとBiSHというのがどういう関係だったんだろうと思ったりもしていたのですが、そういう流れだったんですね。BiSはまさにサブカルですね。地下、アングラそのもの。昔新宿ロフトでやっていたようなことをやっている。ある種、破れかぶれと言うんでしょうかね。とにかく何か変わったことをやらないとというような切羽詰まった感じもありながらアイドルを始めたんだなというのが、BiSに対しての感想でしたね。 そしてBiSHはそういう精神を活かしながら、渡辺淳之介さんと松隈ケンタさんが自分たちの音楽的なノウハウや蓄積を持ち寄ってメジャーで勝負している。そういう2組なんだなと思いました。BiSHは最後、東京ドームですからね。ソロのシンガー・ソングライターも送り出しているわけで、パンクなラディカリズムとポピュラリティというのを、両方とも備えて成功したグループだと言っていいでしょう。 AKBと坂道系に飽き足らない音楽に詳しいアイドルファンがたくさんいたから、シーンに人が集まったんでしょうけど、この10年間こっちの方がおもしろいなという気がかなりしていますね。アイドルと言われると、AKB、坂道を思い浮かべる僕らはなんだったんでしょうと思ったりしながら、来週に行きましょう。メジャーの世界の人たちは何を見ていたんでしょうね。 <INFORMATION> 田家秀樹 1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。 「J-POP LEGEND CAFE」 月 21:00-22:00 音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストにスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。 OFFICIAL WEBSITE : OFFICIAL Twitter :@fmcocolo765 OFFICIAL Facebook : @FMCOCOLO radikoなら、パソコン・スマートフォンでFM COCOLOが無料でクリアに聴けます! →
Rolling Stone Japan 編集部