サブカル文脈から読み解く2010年代以降のアイドルシーン、BiSとBiSHの快進撃
楽器を持たないパンク・バンド
BiSH-星が瞬く夜に / BiSH 田家:2015年5月発売、BiSHの1stアルバム『Brand-new idol SHiT』の中の「BiSH-星が瞬く夜に」。この曲を選ばれているのは? 西澤:これはBiSHがライブで必ずやっていた楽曲で、清掃員と言われるファンも盛り上がる楽曲ですね。 田家:あ、研究員ではなくて清掃員なんだ(笑)。 西澤:BiSHはBrand-new idol SHiTということで、SHiTを清掃するという意味で。 田家:まあ、クソですもんね。そういう自虐タイトルみたいなところから始まっている。 西澤:しかもBiSの解散から1年経たずに始めている。このスピード感はなかなかすごいなと思います。 田家:メンバーは違う人たちなわけでしょう? 西澤:また1からオーディションをして集めたんですけど、そのときのオーディションも僕は全部見させていただいていたんです。BiSが過激なグループというイメージがついちゃったので、オーディションを受けにくる女の子も、私全裸になれますとか、そういう変わった子ばかりいっぱい来ちゃって(笑)。 オーケストラ / BiSH 田家:2016年10月発売、BiSHの「オーケストラ」。3枚目のアルバム『KiLLER BiSH』の中に入っておりました。 西澤:BiSHの活動においてターニング・ポイントになった楽曲で、この曲でより多くの人に知られるきっかけになったんですね。 田家:さっきの曲にあったバケモノな感じはないですもんね。 西澤:渡辺さんも公言しているんですけど、BUMP OF CHICKENみたいな楽曲を作りたいということがもともとのテーマにあって、「オーケストラ」という曲につながっていった感じなんですね。 田家:これは作曲が松隈ケンタさん。渡辺さんと松隈さんはその前からのお付き合いがあるんでしょう? 西澤:BiSが始まる前からの付き合いで、2人で音楽業界でのし上がっていこうぜというところで始めたところがあるので。 田家:このアルバム『KiLLER BiSH』はエイベックスから出た。アルバムチャート1位になりましたもんね。 西澤:BiS時代もエイベックスと一緒に途中からやっていたんですけど。できるだけちゃんと楽曲が伝わるように一緒に話し合ってやっていこうというところで。もともと「オーケストラ」も1stシングルの『DEADMAN』のカップリングに入れようとしていたんですね。いい曲ができたからって。じゃなくて、もっとちゃんと伝わるにはこのタイミングでアルバムに入れた方がいいんじゃないですかというところで、エイベックスといろいろ考えてアルバムに入れた。それによりちゃんと伝わったというところがあったのかなと思います。 田家:ちゃんとメジャーというものを意識しながら、メジャーでやっていくにはどうすればいいのかということで始まっているんですかね。 西澤:ただ最初からメジャーを考えていたらSHiTとかつけないと思うので(笑)。 田家:同じようなことをやろうとしてたのかもしれない(笑)。楽器を持たないパンク・バンドというのはどこから作ったんですか? 西澤:まさにメジャー・デビューをして生まれたキャッチコピーですね。