「不妊治療中に仕事を休む難しさ感じて」苦悩した30代女性 キャリアを見つめ直した末の決断は『ウマ娘』がきっかけで
■転職で人生を見つめ直して「体外受精をしたら…」 ── 苦しい状況だったと思います。こうした状況を変えたきっかけを教えてください。 松元さん:夫の転職で、愛知県から大阪府に引っ越したんです。私も転職することになりましたが、そのときに「仕事中心の生活を変えよう。次の仕事では、絶対にムリをしない、ひとりで抱えこまない」と決めました。仕事にまい進し、やりがいを感じるのはすばらしいけれど、当時の私は仕事に忙殺され、プライベートがおざなりになっていました。
自分がどんな人生を歩みたいかと考えたとき、「子どもがほしい。もっと家族との時間を大事にしたい」と真っ先に思ったんです。そのために、最優先するべきなのは不妊治療ではないかと。ムリせず通院できるよう、時間に融通がきくフルリモートの仕事に就こうと考えました。 ── そこで現在の職場を見つけたのですね。学芸員から競走馬の運送会社では、畑違いの職場ですが、転職したのはなぜですか? 松元さん:ちょうどそのころ、アニメとソーシャルゲームで人気だった『ウマ娘 プリティーダービー』にハマっていました。競走馬が主人公の作品なので、そこから大江運送株式会社の「競走馬運送」という業務内容に興味を持ったんです。同時に、フルリモートの仕事だったので、私にとっては働き方も理想的でした。「自分らしく働きたい」と考えて、思いきって転職しました。
── ちなみに就職活動中の面接では、妊活中であることを伝えましたか? 松元さん:はい。妊活で通院していること、治療のために急なお休みをいただくこともあるかもしれないことは伝えました。それに対して、「当社でしたら、休みたいときはいつでも申請できます。遠慮なく言ってください」と言ってもらえました。妊活を応援してくれていると感じてありがたかったです。採用されてからは、業務委託契約のリモートワーカーとして、広報や事務の仕事に取り組んでいます。勤務時間に縛りがないおかげで、気持ち的にも時間的にもゆとりを持てるようになりました。