<上海だより>少数派の文化系若年層、「文芸青年」とは?
「小清新」は女性に限定された趣味傾向も強くメルヘン色が強いものでした。誤解を恐れずに言えば、少々野暮ったさがある種の特徴でした。それに対して、文青は日本や台湾に限定されず、欧米諸国の志向も取り入れたハイブリッド系のスタイルです。上海のフランス租界エリアでは無印やキンフォーク風の雑貨屋やカフェがずいぶんと増え、その趣味傾向が都市レベルにおいて可視化されてきているのを実感します。
以前までは文青といえば、理想主義で文芸志向が強すぎるためビジネス志向が弱く、あまりお金を持っていない人たち、ちょっと個人主義でオタクぶった面倒な人たちというニュアンスもあり、「私は文青じゃないです」と否定する中国人も多いのですが、最近ではより硬派で自然なスタイルの人たちも増えてきたように感じます。 文青という概念について、まだ中国国内でもまとまった定義はなされていませんし、「文芸青年」という言葉がもともと使われていたこともあるため現在進行形の現象を捉えきれてない人には説明や理解しにくいこともあります。さらに、マイノリティな文化傾向のため一般的な消費者マーケティングにおいては重要視されない傾向もあります。一方で、13億人の人口を持つ中国です。単純な計算ではありますが、仮に総人口の1%程度のマイノリティ市場を考えた時に、日本では約130万人程度の規模であるのに対して、中国においては1300万人規模の市場がある(或いは成長する)と捉えることも可能です。中国においてマスを捉えようとしても、雲をつかむような感覚を抱くことがあります。文青のようなマイノリティ層をじっくりと見据えてみることも、今後の中国市場打開の糸口になるのではないでしょうか。