【高校サッカー】熊本・大津が伝統校との激戦制し20回目の全国へ
102回大会の熊本県大会決勝は、前回と前々回の全国大会で、聖地・国立競技場のピッチに立った強豪・大津と、1931年創部で過去6回全国大会に出場している伝統校・熊本商業の対戦となりました。大津が3大会連続20回目の全国出場を決めた熊本県大会決勝を振り返ります。 ◇ ◇ ◇ サイドからの展開と高さ、前線からの守備に強みを持つ大津と、「トランジションで県内No.1になろう」と素早いカウンターを鍛え上げてきた熊本商業の試合は大激戦に。 立ち上がりから大津は強度の高い守備からリズムを作り、コーナーキックやロングスローなど、セットプレーでチャンスを作り続けます。一方の熊本商業もゴール前での堅い守備を披露。幾度も体を張り、大津に先制点を許しません。 試合が動いたのは前半24分、大津は3年生古川大地選手のクロスに、ここまで2試合連続ゴールを挙げている吉本篤史選手がファーサイドで合わせてゴール!待望の先制点で均衡を破ります。 一方、前半を最少失点で耐えた熊本商業は後半、勇気をもって選手たちが高い位置にポジションをとり攻勢に出ると、10分、相手がクリアしたボールを3年生鳥飼颯真選手がスライディングでゴールに流し込み同点!試合は振り出しに。 その後、両校ピンチを迎えながらも耐える展開が続き、同点のまま試合は終盤へ。このまま延長戦かと思われたアディショナルタイム、大津は途中交代の2年生中村健之介選手がペナルティエリアでシュートを放つと、熊本商業の選手がコースに身体を入れて決死のブロック。しかし、これがハンドの判定となり、大津はPKを獲得します。 キッカーはキャプテン碇明日麻選手。これを落ち着いて左隅へ決め勝ち越します。そのまま、試合終了のホイッスルが鳴り響き、大津の勝利となりました。 決勝ゴールを決めた碇キャプテンは「チームが苦しい状況で最後決めることができてとてもよかった」と話しました。また、大津の宮崎祐介監督は「色々な方たちから応援のメッセージもいただいて少しでもサッカーを通して恩返しができればと思っていた。選手たちにはよく頑張ったと言ってあげたい」と、声を詰まらせながら話しました。 惜しくも準優勝となった熊本商業の時田剛二監督は、決勝直前の練習で「28年ぶりの決勝の舞台、ここでものにしたい。熊本県大会で勝ち続けるということは本当に難しい」と語っています。全国屈指の強豪となった大津をはじめ、複数の強豪校が毎年県の王者を争う熊本の高校サッカーは近年大激戦に。今年の決勝はそんな県内の高校サッカーの様相を表すような試合内容でした。 激闘を制した大津が次に目指すのは、今度こそ「全国制覇」。三度(みたび)聖地のピッチを目指し、優勝旗を掲げるための戦いがいよいよ始まります。 (取材・文 高校サッカー選手権民放43社/熊本県民テレビ)