【バレー】下北沢成徳高「身長180㎝トリオ」の中田藍美 アキレス腱断裂の大ケガを乗り越え今季最初で最後の全国大会へ
相棒・柳千嘉の成長がリハビリ中の刺激に
中田が抜けたことでサウスポーの久米未唯奈が、後藤の離脱で2年生の荻野明花が力をつけた。戦力を底上げするなかで、中田が「いちばん変わったと思う」と語るのが対角を組んでいた柳だ。 北沢中(東京)時代から同じポジションで高め合ってきた2人。どちらからといえば中田がブロック、柳はスパイクを得意としていたが、相棒の離脱に柳は覚悟を決めた。 「藍美のブロックがチームでいちばんきれいで高くて、自分も少しでもできるように、藍美のブロックを見て頑張ろうと思っていました。藍美がケガをする前まではブロックで(中田に)頼っていて、自分はスパイクで点を取りたいタイプでしたが、自分もブロック、スパイクともに頑張らないと、と思うようになりました」 春高都代表決定戦では、イェーモンに匹敵する得点力を見せ、ブロックでも貢献。ミドルブロッカーとしてその要を担い、準決勝(対共栄学園高)ではチームで17本のブロックを決めた。決勝ではインターハイ都予選で敗れた八王子実践高を2-1で下し、1位で本戦の出場権を手にした。 コートには立てなかったものの、ベンチの最前列で鼓舞し続けた中田は、「今までの(柳)千嘉は『自分が、自分が』というタイプではありませんでしたが、『自分が決める』と口に出すようになりました。無意識だと思いますが、そういうひと言を聞くと全然違うんだな、と思います」と相棒の成長に刺激を受ける。
仲間たちの頑張りに勇気をもらい、オレンジコートでの復帰を目指してきた。半年以上に及ぶリハビリを乗り越え、昨年11月上旬から練習に参加。横への移動が多いブロックとは違い、アキレス腱に負担がかかるスパイクは、不安がないとは言いきれない。本戦を1ヵ月後とした昨年12月、「状態としては大丈夫ですが、正直にいえばトラウマもあります」と胸の内を明かしていた。しかし、強い眼差しで言葉を続けた。 「それを1ヵ月で克服して、1月に合わせて出られる状態にします。伊藤先生(崇博監督)が使いたいと思うことを目標にしています。 6ヵ月間プレーしていなくて、今まで何年もやってきたことでも1ヵ月で戻すのは多分難しい。そうなると、自分の強みだと言いたいブロックをいちばん練習して、そこにフォーカスしないといけません。ブロックでもっと貢献できるようになりたいです」 今季2度あった全国大会決勝は同じカード。インターハイは金蘭会高、そして国スポは岡山県の単独チームとして出場した就実高がともにストレート勝ちで制した。好スパイカーぞろいの両女王を破るべく、中田が鉄壁の壁として立ちはだかる。 中田藍美 なかだ・あいみ/3年/身長185㎝/最高到達点307㎝/北沢中(東京)/ミドルブロッカー/クインシーズ刈谷内定 文/田中風太(編集部) 写真/山岡邦彦(NBP)、山田壮司、編集部
月刊バレーボール