年金世代「50万円の壁」見直しへ シニア世代の働き控え解消目的も…現役世代の年金給付額減少に懸念の声【news23】
29歳 男性 「保険料高くなっちゃうのは嫌。しわ寄せが払ってる方、僕らに行くのは難しいなって思います」 30代 女性 「仕方ないとは思いつつも…胸が痛いところではありますね。できれば働いてる人たちの負担が増えないようにしてほしい」 ■年金世代の働き控えを招く「50万円の壁」 藤森キャスター: 高齢者の働く意欲を奪っているとも言われている「年金50万円の壁」、具体例を見てみましょう。 働いている高齢者でひと月に賃金を40万円、厚生年金を20万円も受け取っている場合、合わせて月額60万円を受け取ることになり、「50万円の壁」を10万円超えていることになります。超えた分の半分にあたる5万円の厚生年金が支給されなくなるという形で年金財政が支えられてきたわけです。 働いても受け取る年金が減ってしまう仕組みが高齢者の働き控えを招いているということで、厚生労働省が見直しの検討を進めているということです。 小川彩佳キャスター: 「103万円の壁」は若者の働き控えの問題でしたが、「年金50万円の壁」は高齢者の働き控えの問題ということです。働く高齢者も増えているという中で、こうした制度を見直す必要性はどう考えますか。 教育経済学者 中室牧子: 結局のところ働き手が減っている問題です。次の30年で20%の生産年齢人口が減り、ありとあらゆる職場で5人に1人の人がいなくなるということが非常に大きな問題だと国は考えているので、何らかの形で働き手を増やしたい。そうすると、専業主婦、学生、それから高齢者ということで、壁が次々に議論されているということです。 ■「50万円の壁」見直しの影響 専門家「どうなるかわからない」 藤森キャスター: 壁を見直した場合、課題は財源です。 ▼“年金の壁”見直した場合の給付額(厚労省の試算) 59万円の壁:年1800億円↑ 65万円の壁:年2600億円↑ 廃止:年4500億円↑ 「50万円の壁」を59万円に引き上げた場合は、支払われる年金が新たに1800億円追加、65万円に引き上げた場合は年2600億円、壁そのものを廃止した場合は年4500億円増えるという試算もあります。